サッシの種類とBPI,BEI

こんにちは。

現在、すべての新築建物において省エネ計算が必須となっている。
また、建物の省エネ性能(省エネ基準)についても、今後段階的に引き上げられることが想定されている。

建物の省エネを検討するうえで、窓からの熱取得(熱負荷)は無視できない重要な要素である。
そのため、窓性能の向上を図ることが求められる場合が多いが、省エネ計算書では窓の仕様だけでなく、サッシの仕様についても入力する必要がある。

窓性能であれば、熱貫流率や日射遮蔽係数などを基に、ある程度性能をイメージすることができる。
しかし、サッシの仕様の違いが省エネ性能に与える影響については、十分にイメージできない人も少なくない。

そこで今回は、サッシの種類とBPI(年間熱負荷係数(PAL*))、BEI(年間エネルギー消費量)について紹介する。

サッシの概要

出典:
https://www.suumocounter.jp/chumon/report/jitsurei/entry/mado_sash/

サッシとは窓ガラスを構成する材料の内、枠およびガラスフレームを指す。
枠やガラスフレームの内側に窓ガラスが設置される。

外部からの日射熱取得やガラス面負荷といえば窓本体の性能ばかりに気がとられがちだが、サッシの材質も外部からの日射熱取得やガラス面負荷に影響を与える。

ケーススタディ

境界条件

サッシの種類によるBPIとBEIの変化を確認するにあたって、以下に示すサッシの仕様で比較を行った。
具体的にはサッシの種類は単板ガラスおよびLowE複層ガラス日射遮蔽型を用いることとした。
なお、試算にあたっては標準入力法を用いることとし、非住宅建築物に関する省エネルギー基準に準拠したプログラムで公開されているサンプルモデルを使用した。

No サッシの仕様 詳細
1-1 樹脂製単板ガラス 単板ガラス
1-2 木製単板ガラス 単板ガラス
1-3 金属樹脂複合単板ガラス 単板ガラス
1-4 金属木複合単板ガラス 単板ガラス
1-5 金属単板ガラス 単板ガラス
2-1 樹脂製2層複合ガラス Low-E6 + A + t6 (日射遮蔽型)
2-2 木製2層複合ガラス Low-E6 + A + t6 (日射遮蔽型)
2-3 金属樹脂複合2層複合ガラス Low-E6 + A + t6 (日射遮蔽型)
2-4 金属木複合2層複合ガラス Low-E6 + A + t6 (日射遮蔽型)
2-5 金属2層複合ガラス Low-E6 + A + t6 (日射遮蔽型)
3-1 樹脂製3層複合ガラス Low-E6 + A + t6 + A + t6 (日射遮蔽型)
3-2 木製3層複合ガラス Low-E6 + A + t6 + A + t6 (日射遮蔽型)
3-3 金属樹脂複合3層複合ガラス Low-E6 + A + t6 + A + t6 (日射遮蔽型)
3-4 金属木複合3層複合ガラス Low-E6 + A + t6 + A + t6 (日射遮蔽型)
3-5 金属3層複合ガラス Low-E6 + A + t6 + A + t6 (日射遮蔽型)

サッシの種類とBPI(年間熱負荷係数(PAL*))

サッシの種類ごとのPAL(年間熱負荷係数(PAL*))とBPIを下表に示す。

ガラス性能としては単板ガラスよりも2層複層ガラス、3層複層ガラスの方がPAL(年間熱負荷係数(PAL*))とBPIが向上した。

また、金属製サッシよりも金属樹脂製サッシおよび金属木製サッシや樹脂製サッシおよび木製サッシのほうがPAL(年間熱負荷係数(PAL*))とBPIが向上した。

なお、樹脂製サッシと木製サッシおよび金属樹脂製サッシおよび金属木製サッシではPAL(年間熱負荷係数(PAL*))とBPIは変化しなかった。

サッシの種類とBEI(年間エネルギー消費量)

サッシの種類ごとのBEI(年間エネルギー消費量)を下表に示す。

単板ガラスよりも2層複層ガラス、3層複層ガラスの方がBEI(年間エネルギー消費量)が向上した。

また、金属製サッシよりも金属樹脂製サッシおよび金属木製サッシや樹脂製サッシおよび木製サッシのほうがBEI(年間エネルギー消費量)が向上した。

なお、樹脂製サッシと木製サッシおよび金属樹脂製サッシおよび金属木製サッシではBEI(年間エネルギー消費量)は変化しなかった。

まとめ

そこで今回は、サッシの種類とBPI(年間熱負荷係数(PAL*))、BEI(年間エネルギー消費量)について紹介した。
建物の省エネ化にあたっては設備システムの高効率化も重要だが、それ以前に取得する熱負荷を低減することがさらに重要である。
サッシの種類によってもBEI(年間エネルギー消費量)に影響を与えることを認識いただければと思う。

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