空気線図でみるPMV

こんにちは。

室内の暑さや涼しさを評価する指標として平均予想温冷感申告(PMV)を用いることが多い。
PMVによる評価ではPMVが-0.5~0.5の間であれば、一般的に快適とされる。
しかし、実際にどういった条件であれば、PMVが-0.5~0.5の間となるか、また、空気線図で示したときにPMVが-0.5~0.5となる範囲を知りたい方も少なくないだろう。

今回は、空気線図で見るPMVについて紹介する。

PMVの評価尺度

PMVの7段階評価尺度
+3 Hot 暑い
+2 Warm 暖かい
+1 Slightly Warm やや暖かい
±0 Neutral 中立
-1 Slightly Cool やや涼しい
-2 Cool 涼しい
-3 Cold 寒い

PMVの評価尺度は左図に示すとおり、大きく7段階に大別される。
数字が大きくなるほど暑く、数字が小さくなるほど寒い評価となる。。
また、PMVが0に近づくほど快適であることを示す。

PMVの評価指標

PMVの構成要素
1. 乾球温度
2. 相対湿度
3. 放射温度
4. 気流
5. 着衣量
6. 代謝量

PMVは大きく左表の6種類の要素から構成される。
温湿度の他に、日射等の影響による放射温度、気流や人の着衣量、代謝量でPMVが評価される。

着衣量と代謝量について次項で紹介する。

着衣量

出典:https://www.ecoq21.jp/latest-article/no140/no140.pdf

着衣量はcloで表され、着衣量が大きいほどcloの数値も大きくなる。
事務所で働くオフィスワーカーの着衣量は0.6clo〜1.0clo程度であろう。

代謝量

代謝量はmetsで表され、数値が大きいほど高負荷の状態であることを示す。
例えば、事務所のオフィスワーカーであれば、下図に示す通り、1.5mets程度となる。

出典:https://www.nibn.go.jp/eiken/programs/2011mets.pdf

空気線図でみるPMV

検討概要

着衣量や代謝量を複数ケーススタディし、空気線図上にPMV±0.5、±1.0および±1.5をプロットする。
ケース別に空気線図上にプロットされたPMVの推移を確認する。

境界条件

与条件
比較項目
風速(m/s) 0.5
着衣量(clo) 0.6 1.0
代謝量(mets) 1.0 1.5 1.0 1.5
日射 なし

今回は事務室を想定し、ケーススタディを行う。
一般的な事務室の場合、空調空気の気流は机上面で0.5m/s以下となるように計画を行うことが多いため、風速は0.5m/sとした。
また、着衣量は0.6cloと1.0cloの2種類の場合を検討した。
さらに、放射量は1.0metsと1.5metsの場合の2種類の場合を検討した。
なお、日射はないものとし検討を行った。

ケーススタディ

夏期室内温湿度条件となることが多い26℃50%と冬期室内温湿度条件となることが多い22℃40%にプロットした。

いずれのケースにおいてもPMVの±0.5、±1.0、±1.5の線は直線で表現される。

着衣量(clo)もしくは代謝量(mets)が大きくなるほど、PMVの快適域が空気線図でいう、左側に推移する。
また、着衣量もしくは代謝量が大きくなるほど、快適範囲が大きくなる。

このように、着衣量と代謝量によって、快適範囲が大きく変動することがわかる。

0.6clo・1.0metsの場合

0.6clo・1.5metsの場合

1.0clo・1.0metsの場合

1.0clo・1.5metsの場合

まとめ

今回は、空気線図で見るPMVについて紹介した。

PMVを構成する各要素によって、PMVでの快適範囲が大きく変動する。
すなわち、人が感じる「暑い」や「寒い」といった指標は、人のそのときの状態によって大きく異なることを理解いただければと思う。

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