【雨水利用設備】雨水利用率と雨水代替率とは 2024.12.07 こんにちは。雑用水利用を検討する際に、水源を、雨水と中水のどちらとするかを検討することがある。雨水を利用する場合は、雨水利用率と雨水代替率についても併せて検討する。しかし、普段から雨水利用の検討を行っていないと、雨水利用率と雨水代替率の意味がよくわからない方も多いだろう。今回は、雨水利用率と雨水代替率の意味について紹介する。 コンテンツ 雨水利用設備とは雨水利用率雨水利用率とは計算方法適正な雨水利用率雨水代替率雨水代替率とは計算方法雨水利用率と雨水代替率の傾向まとめ 雨水利用設備とは 通常建物の水源は水道局から供給される給水管から分岐し、建物内に引き込まれる。(一部地域では井戸水を使用することもある。) 一方で、雨水利用設備とは上水の代わりに雨水を用いて、水の有効利用を行う設備を示す。雨水を用いることで上水の使用水量を低減することが可能であり、節水・節約につながる。 雨水利用率 雨水利用率とは 雨水利用率とは、雨水の集水可能量の内、実際に雨水を集水した量の割合を示す。計算式は雨水集水量[m3] ÷雨水集水可能量[m3]である。雨水利用設備を導入するにあたって、雨水を一次貯留可能な雨水貯留槽を設置する。適正な雨水貯留槽容量算定のため、雨水貯留槽を必要最小量としたうえで、最も有効に雨水を利用することが可能なように雨水利用率を算定することが多い。 雨水利用率概要雨水の集水可能量の内、雨水貯留槽に集水する雨量の割合計算式雨水集水量[m3] ÷雨水集水可能量[m3] 計算方法 例えば、年間1,500[m3/年]の雨水を集水可能であり、実際には1,200[m3/年]の集水を行った場合を考える。結果、雨水利用率は1,200 ÷ 1,500 = 80%となる。 雨水利用率の計算与条件雨水集水可能量1,500[m3/年]雨水集水量1,200[m3/年] 雨水利用率の計算例計算式雨水集水量[m3] ÷雨水集水可能量[m3]1,200[m3/年] ÷ 1,500[m3/年] = 80% 適正な雨水利用率 適正な雨水利用率とは、雨水利用率と雨水貯留槽容量÷集水面積の相関により算定される。大きく、下図に示すとおり、雨水貯留槽容量÷集水面積が大きくなるほど、雨水利用率が飽和する。雨水利用率が飽和する直前が最も費用対効果が大きくなる傾向がある。そのため、雨水利用率が飽和する直前の雨水利用率を用いて雨水貯留槽容量を決定する。 雨水代替率 雨水代替率とは 雨水代替率とは建物側で雨水利用可能な量の内、雨水を実際に利用した量の割合を示す。計算式は雨水利用量[m3] ÷建物側で雨水利用可能な量[m3]である。雨水代替率は主に水道料金の削減量を計算する際に使用する。 雨水代替率概要建物側で雨水利用可能な量の内、雨水を実際に利用した量の割合計算式雨水利用量[m3] ÷建物側で雨水利用可能な量[m3] 計算方法 例えば、雨水が雨水貯留槽に貯留された量は500m3/年であり、上水が雨水貯留槽に貯留された量が700m3/年の場合を計算する。実際に必要な水量は500+700=1,200m3/年となる。つまり、雨水による代替率は500÷1,200=42%となる。 雨水代替率の計算与条件雨水利用量500[m3/年]建物側で雨水利用可能な量1,200[m3/年] 雨水代替率の計算例計算式雨水利用量[m3] ÷建物側で雨水利用可能な量[m3]500[m3/年] ÷ 1,200[m3/年] = 42% 雨水利用率と雨水代替率の傾向 雨水利用率と雨水代替率の傾向について紹介する。計算条件として2018年度から2022年度の東京のデータ(気象庁CSV)を使用することとした。また、建物側で雨水利用可能な量は15[m3/日](土日祝日は0[m3/日])とした。(なお、建物側で雨水利用可能な量を変更しても後述するグラフへは影響はない。(営業日数を変更する場合は影響する。) 雨水利用率・雨水代替率の計算与条件データ気象庁CSV(2018年度~2022年度,東京)建物側で雨水利用可能な量15[m3/日](土日祝日は0[m3/日]) 下図に雨水貯留槽容量と集水面積、雨水利用率の相関図を示す。雑用水使用水量(建物側で雨水利用可能な量)Q[m3/日]÷集水面積A[m2]をQAとする。また、雨水貯留槽容量V[m3]÷集水面積A[m2]をVAとする。QAもしくはVAが大きくなるほど、雨水利用率が大きくなることがわかる。 下図に雨水貯留槽容量と集水面積、雨水代替率の相関図を示す。QAが小さくなるほどもしくはVAが大きくなるほど、雨水代替率が大きくなることがわかる。 まとめ 今回は、雨水利用率と雨水代替率の意味について紹介した。雨水利用率と雨水代替率を理解したうえで、適正な雨水利用設備計画を行っていただければと思う。
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