こんにちは。
建築設備に従事もしくは建物を建てようとされている方がよく耳にする用語。
PAC空調だ。
PAC空調と呼ばれてピンとくる方はある程度建築設備についての知識がある方だ。
だがほとんどの方はぴんとは来ないだろう。
PAC空調は「パッケージ」「パッケージ方式」「パッケージ空調」「個別方式」「ビルマル」等と呼ばれることもある。
今回はPAC空調について意味からPAC空調の種類まで紹介する。
PAC空調を語る前段として熱源・空調方式について紹介する。
どのような熱源・空調方式があるかを認識した上でPAC空調を説明した方がより理解が深まるはずだからだ。
熱源・空調方式は大きく「中央熱源」と「個別熱源」にわかれる。
「個別熱源」の主に電気式パッケージエアコンをPAC空調と呼ぶ。
(厳密にはガス式のパッケージエアコンもPAC空調に該当する。
だが実情として電気式パッケージエアコンをPAC空調と呼ぶことが多い。)
中央熱源とは
中央熱源とはセントラル空調とも呼ぶ。
よく大型ビル等で導入されることが多いシステムだ。
熱源機と呼ばれる大型空調機が建物内の一か所に集約され設置される。
その熱源機から空調機を介して必要諸室の空調を行う。
特徴としては全館空調であるため好きな時間に空調のON/OFFができないこと、また冷房暖房の切り替えを自由に行えないことだろう。
個別熱源とは
個別熱源はPAC(パッケージエアコン)を設置し空調を行う。
パッケージエアコンは各空調領域ごとに設置される。
そのため空調を行う空間が大きいほど多くのパッケージエアコンを設置する必要がある。
メリットとしては好きな時間に空調のON/OFF、冷暖房の切替えを行うことができることだ。
デメリットとしては中央熱源とは異なりパッケージエアコンでは換気を行うことができない。
そのため別途換気用の機器も建物内に導入する必要がある。
つまり中央熱源と比べると多くの機器が必要となり維持管理が大変な点だ。
PAC空調とは
PAC空調とは主に以下の写真の機器を示す。
よく家庭にあるルームエアコンもPAC空調の仲間だ。
室外機1台に対して室内機1台もしくは複数台の組み合わせをPAC空調と呼ぶ。
PACは何の略?
PAC は 「Packaged Air Conditioner」 の略だ。
Packaged はパッケージ化されたの意味だ。
Air Conditioner は空調を意味する。
Air Conditioner の Air Con (エアコン)と省略され日々使用されている。
PAC空調の種類
一概にPAC空調といっても実は様々な種類がある。
以下にPAC空調の種類を紹介する。
PAC空調は大きくセパレート方式とマルチ方式に大別できる。
またセパレート方式はルームエアコンと店舗用エアコンに細分化可能だ。
セパレート方式とマルチ方式の違い
セパレート形は前項でも紹介した左図のイメージだ。
室外機1台に対して室内機1台の構成となる。
一方でマルチ方式は室外機1台に対して室内機が複数台設置される。
このためパッケージエアコンの設置スペースを省力化することができる。
「中央熱源と何が違うの?」と思われる方もいるかもしれない。
中央熱源との最大の違いは「マルチ方式」には「換気がない」ことだ。
またビルマルチパッケージエアコンの冷暖房能力にも限界がある。
そのためある程度の建物規模になるとビルマルチパッケージエアコンを大量に設置する必要が出てくる。
ルームエアコンと店舗用エアコンの違い
ルームエアコンと店舗用エアコンは同じようで大きく異なる。
具体的にはエアコンの能力が全く異なる。
家庭用エアコンは最大でも3馬力程度(冷房能力7.1kW暖房能力8.0kW)程度だ。
一方で店舗用エアコンは3馬力よりも大きな空調容量を持った製品も存在する。
それ以外も電源種別が異なる点であったり、機器の耐用年数も異なる。
ルームエアコンに比べて店舗用エアコンの方が一般に高級仕様だ。
そのため費用もそれなりだ。
まとめ
今回はPAC空調について意味からPAC空調の種類まで紹介した。
PAC空調以外にも様々な空調も紹介したが、本稿を参考に少しでもPAC空調について理解いただければと思う。
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