こんにちは。
機械設備図の作成において平面図や系統図のみならずリスト類も整理する必要がある。
平面図や系統図はビジュアル的に理解しやすい内容であることが多い。
一方でリスト類は途中に計算結果がいきなり記載されることもあり、なぜこのような数値が記載されているのか理解に苦しむこともある。
今回はガラリチャンバーリストの作り方を紹介する。
今回制気口リストを作成するにあたり上図を使用することとする。
本図の作成方法は以下の記事で紹介しているため気になる方は参考に頂ければと思う。
ガラリチャンバーリストの作り方
①ガラリチャンバーリストの様式
ガラリチャンバーリストの作成にあたりまずは上表のようなリストを作成する。
今回はわかりやすいようにガラリの通過風量や面風速、その他にも機器の風量の集計を一式記載した。
最終的にガラリのチャンバー寸法がわかればよい。
そのためガラリ名称とチャンバー寸法だけを記載しても構わない。
②ガラリ毎の通過風量
まずはガラリ毎の通過風量を求める。
平面図を参考に各機器の風量と機器の数量を確認する。
機器合計風量[m3/h] = 機器風量[m3/(h・台)] x 台数[台]
で求めることができる。
次にガラリの系統ごとに機器合計風量を積み上げる。
③ガラリ面風速
ガラリの面風速は外気取入れの場合は3.0m/s、排気の場合は4.0m/sを基準に記載する。
なおパスダクトが接続されるガラリは面風速を1.5m/sとして計算を行うことが望ましい。
(参考)ガラリ部分の面風速についてより詳しく知りたい方は以下の記事を参考に頂ければと思う。
④ガラリ有効面積
ガラリ毎に通過風量を算定後にガラリの有効面積を算出する。
ガラリの有効面積は以下の式で計算可能だ。
ガラリ有効面積[m2] = ガラリ風量[m3/h] ÷ 3,600[s/h] ÷ ガラリ面風速[m/s]
小数点第4位を繰り上げし小数点第3位程度まで記載すればよいだろう。
(参考)設計時においては風量に変更がある場合や意匠的なガラリの位置変更、分割等を理由に気づかぬうちにガラリ面積が不足していることがある。
ガラリ面積不足をあらかじめ予防するためにガラリ有効面積に多少余裕率を見込むこともある。
余裕率の見込み方は以下を参照頂ければと思う。
⑤ガラリ面積(参考)
ガラリ自体は建築工事となることがほとんどだ。
そのため本来であればガラリの面積は記載する必要がない。
だが参考情報としてガラリ面積を表現する場合がある。
なお建築設備設計基準によれば開口率30%で計算される。
つまり以下の式でガラリ面積を算出することが可能だ。
ガラリ面積[m2] = ガラリ有効面積[m2] ÷ 30[%]
⑥チャンバー寸法
ガラリ有効面積が決まった後はチャンバー寸法を決定する。
だがチャンバー寸法はガラリの寸法に依存する。
そのため意匠との整合が必要不可欠だ。
とはいえ意匠が一方的に決められるものではないことも事実。
機械設備側としては主に以下の点に配慮して、意匠にガラリの寸法を決定してもらう必要がある。
A.ガラリの有効面積が確保できているか。
B.ダクトが複数本数接続されるガラリの寸法は配慮できているか。
特にBについては事前に機械設備側から要望を挙げておく必要がある。
左図に示すガラリチャンバーとダクトの関係のようなイメージだ。
ダクトの接続本数やダクト径を考慮せずにガラリの大きさを算出してしまうとダクトをガラリチャンバーに接続できないといったことが起こりかねない。
上記を考慮し下表のチャンバー寸法を記載した。
なおダクト間のクリアランスを200mmとし両端のダクトからチャンバー寸法までは100mmずつ確保した。
⑦備考
他にもガラリチャンバーの仕様を付記したい場合は備考に記載する場合がある。
例えば先ほど紹介したガラリ面積(参考)部分の開口率も備考に記載してもよいだろう。
他にも以下の内容を必要に応じ特記することが多い。
・グラスウール
・点検口
・ガラリチャンバーの板厚
まとめ
今回はガラリチャンバーリストの作り方を紹介した。
ガラリチャンバーリストはよく意匠と不整合が起きがちだ。
そのためコミュニケーションをしっかりと図ったうえでガラリチャンバーリストを作成することをお勧めする。
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