ファンコイル廻りに必要な弁類(定流量弁、流量調整弁、電動二方弁)

はいこんにちは。
ファンコイル廻りの要領図を見てふと思ったことはないだろうか。
というのも色々な弁がついておりそれぞれ何のために使用するのかがよくわからない方もいるかと思う。
今回はそんな方のためにファンコイルの基礎から各弁類の用途について紹介する。

ファンコイルとは

正式名称はファンコイルユニットといい主に中央熱源の場合に使用される機器である。
いわゆる家庭にある室内機との違いは冷やしたり暖めたりする媒体が異なることだ。

どちらも冷やしたり暖めたりすることには変わりはない。
だが室内機の場合は主に冷媒と呼ばれるいわゆる圧縮ガスを膨張させたり圧縮したりすることで熱交換を行う。
一方でファンコイルは主に水を媒体として熱交換を行う。

定流量弁の役割

そんなファンコイルだがファンコイル自体を正常に動かすために様々な弁が存在する。
一つ目は定流量弁と呼ばれる手動弁。
先ほども同じことを述べたがいわゆる家庭用の室内機とは異なり中央熱源に主に使用される。

そのためファンコイルは建物全体に供給される冷水や温水を使用することとなる。

例えば上図のような熱源システムがあり複数のファンコイルが繋がってたとする。
通常省エネのために冷温水の供給量はファンコイルなどの2次側の要求により供給量を制御する。
こういった場合においてこの複数のファンコイルには同じ送水圧力で冷温水が供給されるだろうか。
当然手前側のファンコイルばかりに水は流れ奥の方にあるファンコイルには水が供給されにくい状況が生まれる。
となると奥の方のファンコイルは室内が暑くなったら寒くなったりしても冷温水が供給されないため冷やせない暖められないということになる。

ダイレクトレタン方式を用いた少し極端な例だがこういったことを避けるために定流量弁が必要だ。
ここでいう定流量とは規定水量以上は流さないようにするという意味。
従って規定水量以下については特に制御などしている弁ではないため定流量というのも本来違う気がするがそこはおいておく。

既定水量以上は流れないということは熱源1次側の方ではファンコイル等の要求水量を供給しているため嫌でも全てのファンコイルへ冷温水が供給されるということになる。

いわゆる圧力差がある場合においても安定した冷温水供給のための装置といえる。

流量調整弁とは

一方で流量調整弁とはどんなものかについて紹介する。
名前からして変流量で冷温水を供給できる装置のように聞こえるが自動弁ではないためそのような制御はできない。

だとすると何のための弁なのかというとどのタイプの設備機器にも柔軟に対応できるように手動で必要な流量を調整するための弁だ。
結局はこちらも同様に定流量弁と同じで、あくまでも規定水量を超えないようにリミッターを設ける手動弁だ。

定流量弁と流量調整弁の違い

ここまで読んでいると定流量弁と流量調整弁の違いがなんだかよくわからないという方もいるかもしれない。

基本的には前述した通りだがそれぞれのメリットデメリットを紹介する。
【定流量弁のメリット】
・ファンコイルに定流量弁を組み込んだ状態で現場へ支給され、流量調整などに伴う労務がかからない、また現場での流量調整ミスが発生しない。
定流量弁のデメリット】
・定流量弁の定価が約80,000円程度と高い。
【流量調整弁のメリット】
・流量調整弁の定価が約30,000円程度と安い。
・ファンコイル本体に弁を組み込む必要がないので納期が短い。
・流量調整弁は汎用性があるためどの機器に対しても使用可能。
【流量調整弁のデメリット】
・流量調整の人為的ミスが発生する恐れがある。

それぞれのメリットデメリットがあるが、施工者やメーカーなどへのヒアリングによると現場ではよく流量調整弁が使用されるケースが多いようだ。

電動二方弁とは

一方で電動二方弁の役割について紹介する。
電動二方弁とは呼んでごとく電動で弁を操作する装置を示す。

電動の時点で制御を行うわけだが通常は室内の温度を計測して暑ければ二方弁の開度を開き、室内温度が室温に近づくほど二方弁は閉の方向へ自動で調節される。
ここで大切なことがこの電動弁は流量を制御しているわけではなくあくまでも弁の開度を制御していることに注意いただきたい。
そのためファンコイル側へ流れる冷温水の圧力差ができると流量を制御できないことにつながるので注意が必要である。
(そのために前述した定流量弁や流量調整弁が存在する。)

ファンコイル廻りイメージ

ファンコイル廻りのイメージを紹介する。
基本的にはファンコイル入り口側の配管に電動二方弁を設ける。
ファンコイル出口側に定流量弁もしくは流量調整弁を設ける。

また将来的なファンコイル更新用に冷温水の入口と出口側両方にボール弁(BAV)を設ける。
ちなみに定流量弁や流量調整弁自体は標準付属品ではないため、特に支障がないと判断されれば、弁自体を取り付けないといった選択肢もあり得る。

まとめ

今回はファンコイル廻りの各種弁類について紹介した。
今回紹介した内容はファンコイルに限らずその他の設備機器にも応用が可能な基礎的な内容だ。
定流量弁や流量調整弁、電動二方弁の設置理由を理解し、今後様々な事柄へ対応できるようになることを望む。

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