こんにちは。
民間の建物の場合は、建物内の快適性をより向上させるため、廊下部分を空調するといったことが考えられる。
廊下の空調を行うこと自体は決して難しいことではないが、建物全体の工事費は上昇する傾向となる。
設計業務を行う側からすれば、想定工事費をにらみながら設計を行う必要があるため、廊下の空調分のコストをあらかじめ見込んでおく必要がある。
全体工事費を掴むために、一般的に設計業務においては、基本設計時に工事費の概算を算出することが多い。
(実施設計終了段階で積算を行う事が多い。)
基本設計時の概算算出時には他案件を参考にして算出することがほとんどだろう。
しかし、その概算の中には一般的に廊下の空調分のコストが見込まれていない。
つまり、廊下を空調するためにかかる費用を何らかの形で計上する必要がある。
今回は廊下を空調する際に必要なコストの概略を計算する方法を紹介する。
一般的に事務室や、会議室は居室である。
居室とは、人が一定時間滞在する可能性がある室のことである。
そういった居室に対して、一般的に空調を見込むケースが多い。
一方で、廊下やトイレと言った非居室の場合は、あくまでも通過動線であるため、空調をする必要性が特にない。
学校や会社などを確認いただければわかるかと思うが、ほとんどのケースにおいて、トイレや廊下といった空間では空調が入っていないだろう。
(寒冷地の場合は、水廻りに電気ヒーターや温水ヒーターが見込まれているケースがある。)
廊下部分がなんとなく空調されていると感じる
廊下に直接空調機器がないのにもかかわらず、廊下部分がなんとなく空調されていると感じることがあるだろう。
それは、以下の理由が考えられる。
一つはエントランスホールやエレベーターホールが空調されているケースである。
エントランスホールやエレベーターホールと廊下の間に障壁は存在しないことがほとんどであるため、空調した際の冷気や暖気が廊下へ直接伝わっている可能性がある。
次に考えられることとしては、空気のカスケード利用が行われている場合である。
カスケード利用とは、人のための換気を居室から廊下を通じてトイレなどで排気を行うことを示す。
換気とは言いつつも、実際には居室である程度空気が温調されているため、ある程度空調された空気が廊下へ流出している。
そのため、廊下がなんとなく空調されていると感じることがある。
廊下部分の空調コストの算出方法
一般的にどんな建物でも建物内の全ての室を空調しているわけではない。
建物ごとの空調コスト原単位[円/m2]は延べ面積に対してのコストとしかなり得ない。
つまり、空調面積あたりのコストを算出することで、廊下分の空調コストを算出することができる。
空調設備の導入費用が60,000円/m2で、空調面積の割合が延べ面積の70%の場合、空調面積1m2あたりの空調設備の導入費用は60,000円/m2÷0.7=85,174円/m2となる。
ここまで算出できれば、あとは空調を行う廊下の面積を乗じることで廊下分の空調コストを算出することができる。
計算式 |
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空調面積あたりのコスト[円/m2] = 空調導入費[円/m2]÷空調面積割合[%] |
廊下分の空調コスト[円] = 空調を行う廊下の面積[m2] x 空調面積あたりのコスト[円/m2] |
まとめ
今回は廊下を空調する際に必要なコストの概略を計算する方法を紹介した。
空調コストの原単位がどのように算出されているかさえ、しっかりと把握できれば、廊下を空調する際にかかるコスト(概略)も算出することが可能である。
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