こんにちは。
普段設備設計を行っているとどうしても自然流下で排水を計画できない場合がある。
排水は自然流下による排水を行うことが原則だ。
そんな時には建物のピット内に排水槽を設置することとなる。
だが排水槽自体が必要になることは意外とまれだ。
そのため排水槽の計画方法がよくわからないという方も多いだろう。
今回はピットに設置する排水槽の容量の算定方法を紹介する。
排水槽とは排水を一時的に貯留するための水槽だ。
排水槽内に排水用の水中ポンプを設置して強制的に屋外へ排水を排出する。
排水槽を設置する場合は図示の通りピット内に設置することが多い。
排水槽容量の計算式
建築設備設計基準に記載されている排水槽容量の計算式は以下のとおりである。
汚水槽 = 時間平均流量[L/h] x 2~2.5[h] (但し最小容量は3.0m3)
雑排水槽 = 時間平均流量[L/h] x 2~2.5[h] (但し最小容量は2.0m3)
湧水槽 = 最小容量1.5m3
各水槽容量は時間平均流量に基づき算定される。
この時間平均流量は時間平均予想給水量と読み替えて計算を行う。
(但し厨房の場合は0.8を乗じた数値とする)
基本的に給水量 = 排水量であるため上記の計算方法となる。
時間平均予想給水量
前項では排水槽容量の算定方法を紹介した。
本項では排水槽容量計算の基となる時間平均流量の算定方法を紹介する。
①1日の使用水量から時間平均予想給水量を算定
時間平均予想給水量は基本的に1日の使用水量から算出することとなる。
一日の使用水量は給水計算時に算出しているはずだ。
そのため一日の使用水量から人が滞在する時間を除することで時間平均予想給水量を算出可能だ。
時間平均予想給水量[m3/h] = 1日使用水量[m3/日] ÷ 使用時間[h/日]
建物全体の排水が一つの排水槽へ集水される場合は上記計算で問題ないだろう。
②同時使用流量から排水の時間平均流量を算定
前項のように建物全体の排水が一つの排水槽へ集水される場合は日使用水量から時間平均予想給水量を算出して構わない。
だが例えば建物の部分的な排水を排水槽へ導く場合もしくは排水槽を複数計画する場合は事情が変わってくる。
建物の使われ方によっては各排水槽の容量を目一杯確保した方が良い場合もある。
だが使われる方によっては各排水槽の容量を小さくすることが可能な場合もある。
そんな時に一つの指標となるものがある排水槽へ導かれる器具給水負荷単位と同時使用流量から排水の時間平均流量を求める方法だ。
引用:建築設備設計基準
左図をうまく活用することで排水槽毎の時間平均流量を算出することも可能だ。
③平均排水量から排水の時間平均流量を算定
引用:空気調和衛生工学便覧
引用:空気調和衛生工学便覧
他の方法としては空気調和衛生工学便覧に記載されている平均排水量を使用する方法だ。
各器具ごとの排水量と排水間隔が記載されている。
これらを用いることで排水量算定の根拠に用いることも可能だろう。
(給水計算時に用いる同時使用流量だと値が大きくなりすぎる傾向にある)
まとめ
今回はピットに設置する排水槽の容量の算定方法を紹介した。
排水は原則として自然流下による排水方式で計画する必要がある。
だがどうしても排水槽が必要な場合は本稿を参考に頂ければと思う。
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