【初心者向け】排水方式:合流方式と分流方式の違いを紹介

こんにちは。

普段何気なく計画している排水管。
排水には合流方式と分流方式があることはご存じだろうか。
これらの方式を間違えたまま計画を行ってしまうと、確認申請時や完了検査時に指摘される可能性がある。

また意外と理解されていないこと。
それは合流方式と分流方式は「屋内」と「屋外」それぞれ方針を決定する必要があることだ。
具体的には「屋内合流式」
「屋内分流式」「屋外合流式」「屋外分流方式」の計4種類存在する。

今回は「屋内合流式」「屋内分流式」「屋外合流式」「屋外分流方式」の違いについて紹介する。

一概に建物からの排水といっても排水には様々な種類がある。
排水は大きく以下の排水種別に分かれる。

排水種別建物内からの排水汚水、雑排水
建物外からの排水雨水

排水の種類

①汚水

汚水とは主に汚物を扱う排水を示す。
具体的には大便器や小便器からの排水だ。
その他にも多機能便所がある場合にはオストメイトからの排水も含まれる。
基本的にこれらの排水が汚水に分類される。

汚水大便器からの排水
小便器からの排水

②雑排水

雑排水とは主に汚物を扱わない排水を示す。
例えばトイレでいえば洗面器からの排水が該当する。
他にも居室内に設置されることがある手洗器からの排水も雑排水となる。

例えばキッチンからの排水も一般には雑排水に分類される。
だがキッチンや厨房からの排水は実際には厨房排水と配管を分けることが多い。
(油が配管内で凝固して詰まることがあるため)

雑排水洗面器からの排水
手洗い器からの排水

③雨水

普段からよく経験する雨水も排水管へ導く必要がある。
敷地内に降った雨水だけでなく建物の屋根や外壁面に降った雨も排水管へ導く。

雨水地面に降った雨
屋根や建物外壁に降った雨

排水方式概要

排水種別建物内からの排水
建物外からの排水

「屋内合流式」「屋内分流式」「屋外合流式」「屋外分流方式」の紹介をする前に排水方式の概要を紹介する。
前述したとおりだが排水方式は大きく建物内と建物外の排水方式に分けることができる。

1.屋内合流方式、屋内分流方式

まずは「屋内合流式」「屋内分流式」について紹介する。
「屋内合流式」「屋内分流式」とは屋内からの排水である「汚水」と「雑排水」を合流式とするか分流式とするかだ。

1-1.屋内合流式

屋内合流方式の場合の排水管ルート図を示す。
(屋内合流方式の概念を記しているだけだ。
そのため図面として読めない等は容赦いただければと思う。)

屋内合流方式の場合は大便器、小便器からの排水(汚水)と洗面器からの排水(雑排水)が建物内で合流する方式だ。

1-2.屋内分流式

屋内分流方式の場合の排水管ルート図を示す。
(屋内分流方式の概念を記しているだけだ。
そのため図面として読めない等は容赦いただければと思う。)

屋内分流方式は大便器、小便器からの排水(汚水)と洗面器からの排水(雑排水)を建物内で分流する方式だ。

1-3.屋内分流方式でも屋外では合流

屋内分流方式はあくまでも屋内の汚水管と雑排水管を分流する方式だ。
そのため屋外では排水桝を通じて汚水と雑排水が合流する。

1-4.屋内分流方式が存在する理由

屋内分流方式は現在ではほとんど使われることがない。
ではなぜ屋内分流方式が存在するのだろうか。

ある時代では建物からの排水は汚水のみを浄化槽へ導き処理していた。
(これを単独浄化槽と呼ぶ。(公共インフラが整っていなかったころ))
だが単独浄化槽だけでは雑排水を一切処理しない。
そのためBOD(水質の汚濁度を示す指標)が高い状態で排水や、地面への浸透が行われていた。

そんな劣悪な水環境を解消するため雑排水も対象とした合併浄化槽が使用されるようになった。
(現在では単独浄化槽は使用できない)

単独浄化槽のころは汚水のみを排水処理の対象としていた。
つまり雑排水と汚水を分流方式とする必要があった。
これが「屋内分流方式」の大きな経緯だ。

だが合併浄化槽では汚水だけではなく雑排水も排水処理を行う。
そのため屋内分流方式とする必要はほとんどないことが実情だ。

設備設計者の多くの方が使用する書籍「建築設備設計基準」でも「屋内の排水管は、衛生上の支障がない場合は、合流式とする。」と記載がある。

但し、現在のマンションでは屋内分流式のほうが主流である。

2.屋外合流方式、屋外分流方式

次は「屋外合流式」屋外分流式」について紹介する。
屋外合流式」「屋外分流式」とは屋外排水管として発生する「建物内からの排水(汚水・雑排水)」と「建物外からの排水(雨水)」を合流式とするか分流式とするかだ。

2-1.屋外合流方式

屋外合流方式の場合は建物内からの汚水、雑排水と建物外で発生する雨水を屋外かつ敷地内で合流する方式だ。

2-2.屋外分流方式

屋外分流方式の場合は建物内からの汚水、雑排水と建物外で発生する雨水を屋外かつ敷地内で分流する方式だ。

2-3.屋外分流式とする理由

屋外分流式とする多くの場合は公共の下水道本管が汚水雑排水用と雨水用で分かれている場合だ。
特に郊外では雨水下水道本管と汚水雑排水下水道本管がそれぞれ設けられていることが多い。
(個人の肌感覚上だが)
雨水用の下水道本管がある場合は多くの場合で必ず屋外分流式とする必要がある。
(下水道局等への確認が必要だ)

ドレン排水は雑排水?雨水?

室内機や空調機器から発生するドレン排水。
ドレン排水は雑排水扱いとするか雨水扱いとするか自治体(下水道局等)により異なる。
そのため案件毎にドレン排水を雑排水とするか雨水扱いとするか確認が必要だ。

だがいずれの場合においても通常ドレン配管建物内では単独で導くことが普通だ。

まとめ

今回は「屋内合流式」「屋内分流式」「屋外合流式」「屋外分流方式」の違いについて紹介した。
本稿によりそれぞれの排水方式について理解が深まればと思う。

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