再生可能エネルギーの種類について紹介

こんにちは。

建物の脱炭素化を図るためには、再生可能エネルギーは切っても切れない存在である。
特に『ZEB』や『Nearly ZEB』を取得する際には、再生可能エネルギーを導入がほぼ必須といっても過言ではない。
そんな再生可能エネルギーだが、実際には様々な未利用エネルギーがある。

今回は、再生可能エネルギーの種類について紹介する。

再生可能エネルギーは大きく、発電設備と熱利用設備に大別される。
発電設備としては、太陽光発電、風力発電、水力発電、地熱発電、バイオマス発電、蓄電池等が挙げられる。
また、熱利用設備としては、太陽熱利用、地中熱利用、温度差熱利用、地熱利用、バイオマス熱利用、バイオマス燃料製造メタン発酵等が挙げられる。

次項以降で、これらの再生可能エネルギー発電設備と再生可能エネルギー熱利用設備のうち、いくつか抜粋して紹介する。

出典:東京都産業労働局HP

再生可能エネルギー発電設備

太陽光発電

太陽光発電は、太陽の光エネルギーを利用して電気をつくる再生可能エネルギーの一つである。
太陽電池(ソーラーパネル)に太陽光が当たることで半導体内部の電子が動き、直流の電力が発生する。
この電力はパワーコンディショナによって交流に変換され、住宅や建物、工場などで使用されるほか、余剰分は電力会社へ売電したり、蓄電池に貯めたりすることができる。

太陽光発電の大きな特徴は、発電時に二酸化炭素をほとんど排出しない点にあり、地球温暖化対策やカーボンニュートラルの実現に貢献する技術として注目されている。
また、燃料を必要とせず、運転時の騒音や排ガスもないため、環境負荷が小さい。住宅から公共施設、工場、大規模な発電所まで幅広く導入でき、自家消費を行うことで電気料金の削減や災害時の非常用電源としての活用も期待されている。

一方で、発電量は天候や季節、昼夜の影響を受けるため常に一定ではなく、設置場所の日射条件や方位、面積によって性能が左右されるという課題もある。
そのため、蓄電池や系統電力との併用が重要となる。
太陽光発電は、省エネルギー対策と組み合わせて活用することで、ZEBやZEHなどの高効率建築や脱炭素社会の実現において、中心的な役割を果たす技術である。

風力発電

風力発電は、風の力を利用して電気をつくる再生可能エネルギーの一つである。
風が吹くことで風車の羽根(ブレード)が回転し、その回転エネルギーを発電機に伝えることで電力を生み出す仕組みとなっている。発電された電気は送電設備を通じて建物に供給される。

風力発電の特徴は、発電時に二酸化炭素を排出しない点にあり、地球温暖化対策や脱炭素社会の実現に向けた重要な電源として位置づけられている。
特に沿岸部や山間部、海上など風況の良い場所では安定した発電が期待でき、大規模な発電設備として導入されるケースも多い。
また、燃料を必要とせず、運転コストが比較的低い点も利点である。

一方で、風の強さや向きに左右されるため発電量が変動しやすく、常に一定の電力を供給できるわけではないという課題がある。
加えて、設置場所によっては景観への影響や騒音、自然環境への配慮が求められる。
こうした点を踏まえ、蓄電池や他の電源と組み合わせながら活用することが重要とされている。

水力発電

水力発電は、川の流れや高低差を利用して電気をつくる発電方式で、古くから利用されてきた再生可能エネルギーの一つである。ダムや水路によって集められた水を高い位置から落とし、その水の勢いで水車(タービン)を回転させ、発電機を動かすことで電力を生み出す仕組みとなっている。

水力発電の大きな特長は、発電時に二酸化炭素をほとんど排出せず、安定した電力を長期間にわたって供給できる点にある。太陽光発電や風力発電と比べて出力の変動が小さく、需要に応じて発電量を調整しやすいことから、電力系統の安定化にも貢献してきた。
また、一度整備すれば設備の寿命が長く、維持管理を続けることで数十年にわたり利用できる点も強みである。

一方で、大規模なダム建設を伴う場合は、自然環境や生態系、景観への影響が課題となることがある。
このため近年では、既存の農業用水路や上下水道、河川の落差を活用した小水力発電にも注目が集まっている。

地熱発電

地熱発電は、地球内部に蓄えられた高温の熱エネルギーを利用して電気をつくる発電方式である。
地下深くに存在する高温の蒸気や熱水を地上に取り出し、その圧力や熱でタービンを回して発電機を動かすことで電力を生み出す。
主に火山帯など地熱資源が豊富な地域で導入されており、天候や昼夜の影響を受けにくく、安定した発電が可能な再生可能エネルギーとして位置づけられている。

地熱発電の大きな特長は、発電時の二酸化炭素排出量が非常に少なく、長期間にわたり安定した出力を維持できる点にある。
太陽光や風力と異なり、ベースロード電源としての利用が可能であり、脱炭素社会を支える重要な電源の一つとされている。
一方で、適地が限られることや、掘削に高いコストと技術が必要となること、温泉資源や自然環境への影響に配慮が求められる点が課題である。

なお、地熱発電は地中熱利用と混同されやすいが、両者は目的と仕組みが異なる。
地熱発電は地下数百~数千メートルの高温の地熱エネルギーを利用して「電気をつくる」技術であるのに対し、地中熱利用は地下数十~百メートル程度の比較的安定した地温を活用し、ヒートポンプによって建物の冷暖房や給湯を行う「省エネルギー技術」である。
つまり、地熱発電は発電を目的とした創エネルギーであり、地中熱利用は空調・給湯の効率を高めるための利用方法という点で明確に区別される。

バイオマス発電

バイオマス発電は、木材や家畜ふん尿、食品廃棄物、下水汚泥などの生物由来資源(バイオマス)を燃料として電気をつくる発電方式である。
これらの資源を直接燃焼させたり、ガス化して得られたガスを利用したりすることで蒸気を発生させ、タービンを回して発電を行うのが一般的な仕組みである。

バイオマス発電の特長は、燃焼時に二酸化炭素を排出するものの、原料となる植物が成長過程で同量の二酸化炭素を吸収しているため、全体としては大気中のCO₂を増加させないと考えられている点にある。
この考え方は「カーボンニュートラル」と呼ばれ、再生可能エネルギーとして位置づけられる理由の一つとなっている。
また、天候に左右されにくく、安定した出力で発電できることから、電力供給の安定化にも寄与する。

一方で、燃料の調達や輸送、保管が必要となるため、地域特性に応じた計画が欠かせない。
特に木質バイオマスの場合、未利用材や間伐材を活用できれば森林整備や地域経済の活性化につながる一方、燃料を海外から輸入するケースでは、持続可能性や環境負荷が課題として指摘されることもある。

蓄電池

蓄電池は、電気をためて必要なときに使うための設備であり、近年は太陽光発電と組み合わせて導入されるケースが増えている。
太陽光発電は昼間に発電量が多く、夜間や天候不良時には発電できないという特性があるが、蓄電池を併用することで、昼間に発電した電気をためておき、夜間や必要な時間帯に使用することが可能となる。

このように太陽光発電と蓄電池をセットで利用することで、発電した電気の自家消費率を高め、電力会社から購入する電力量を抑えることができる。
電気料金の削減効果に加え、電力需給がひっ迫する時間帯の使用を避けるといった運用も可能となり、エネルギーの使い方に柔軟性が生まれる。
また、停電時には非常用電源として機能し、施設のBCP対策としても有効である。

一方で、蓄電池には容量や寿命といった制約があり、導入コストも決して低くはないことに注意が必要である。

再生可能エネルギー熱利用設備

太陽熱利用設備

太陽熱利用設備は、太陽の光によって生じる「熱」を直接利用し、主に給湯や暖房に活用する設備である。
屋根などに設置した集熱器で太陽熱を集め、その熱を水や不凍液に伝えて貯湯槽へ送り、生活用のお湯や暖房用の熱源として利用する仕組みとなっている。
電気を介さずに熱として利用する点が大きな特徴である。

太陽熱利用設備の利点は、仕組みが比較的シンプルで、エネルギー変換ロスが小さい点にある。
日射条件が良ければ、給湯エネルギーの多くを太陽熱でまかなうことができ、ガスや電気の使用量削減につながる。
また、運転時に二酸化炭素をほとんど排出せず、家庭や施設における省エネルギー対策として有効である。
一方で、天候や季節の影響を受けやすく、夜間は利用できないため、既存の給湯設備との併用が前提となる。

太陽熱利用設備は、太陽光発電と混同されることがあるが、両者は利用するエネルギーの形態と目的が異なる。
太陽光発電は、太陽の光を電気に変換して照明や機器、設備の電源として使用する「発電設備」であるのに対し、太陽熱利用設備は、太陽の熱をそのまま給湯や暖房に使う「熱利用設備」である。
太陽光発電が電力を生み出す創エネルギーであるのに対し、太陽熱利用は給湯エネルギーを直接削減する省エネルギー的な性格が強い。

地中熱利用設備

地中熱利用は、地表から数十〜百メートル程度の地下に存在する、年間を通して温度が安定している「地中の熱」を活用し、建物の冷暖房や給湯を行う技術である。
地下は外気と比べて夏は涼しく、冬は暖かいという性質があり、この安定した温度を熱源として利用することで、高効率なエネルギー利用が可能となる。

地中熱利用では、地中に埋設した配管や井戸を通じて熱を取り出し、ヒートポンプによって必要な温度まで昇温・降温して建物に供給する。

夏は建物内の熱を地中へ逃がし、冬は地中の熱を建物側に取り込む仕組みで、空気を熱源とする一般的な空調方式に比べ、外気温の影響を受けにくい点が大きな特長である。
そのため、冷暖房の消費エネルギーを大きく抑えることができ、二酸化炭素排出量の削減にもつながる。

なお、地中熱利用は「地熱発電」と混同されることがあるが、目的とスケールが異なる。
地中熱利用は、比較的浅い地下の安定した地温を使って冷暖房や給湯を行う省エネルギー技術であり、電気をつくる発電方式ではない。
主に建築設備分野で活用され、住宅から公共施設、業務用建物まで幅広く導入されている。

また、以降の地熱利用設備やバイオマス熱利用設備も同様に、発電する設備ではなく、冷暖房や給湯に用いられる省エネルギー技術である。

まとめ

今回は、再生可能エネルギーの種類について紹介した。
地域特性により有効な再生可能エネルギー技術が大きく異なるため、立地や自然環境、用途などを鑑みて検討することが重要である。

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