ASHRAEでみる各国の温湿度

こんにちは。

近年、世界各地で異常気象が発生している
具体的には、外気温の上昇や自然災害などが増加している。
さらに、グローバル化に伴い、海外の施主と設計・施工を行う機会も徐々に増えてきた。
その際には、施主が暮らす地域の常識や気候特性を理解しておくことが重要である。

そこで今回は、ASHRAEに基づく世界各国の温湿度について紹介する。

ASHRAEとは

ASHRAEとはアメリカ暖房冷凍空調学会(American Society of Heating, Refrigerating and Air-Conditioning Engineers)の略であり、暖房・換気・空調・冷凍分野におけえる国際的な学会である。
ASHRAEでは数多くの技術委員会を抱え、アメリカ規格協会(ANSI)の認証を受けた各種基準やガイドラインを制定している。
なお、アメリカ規格協会(ANSI)とは日本でいう日本産業規格(Japanese Industrial Standards)(通称JIS)と似たような位置づけである。
ASHRAEでは世界各地の設計用外気温湿度についても公開しており、世界中の設計者がこれらの数値を用いている。

各国の外気温湿度比較

比較対象国

比較対象国は、東京、バンコク、シドニー、ロンドン、ストックホルム、ケープタウン、ニューヨーク、サンパウロの計8地点とした。
下図に各地点の所在を記す。

ASHRAEによる外気温湿度の比較条件

ASHRAEには使用する用途により様々な数値が記載されている。
空気の状態を把握するためには、温度や湿度等の空気の状態値を示す指標のうち2つがわかればよい。
そのため、夏期については外気温度危険率0.4%および外気エンタルピー危険率0.4%の値を使用することとする。
また、冬期は加湿用空気温度危険率99.6%およびそのときの絶対湿度を使用する。

外気温湿度の比較条件
夏期外気温度危険率0.4%および外気エンタルピー危険率0.4%の値を使用
冬期加湿用空気温度危険率99.6%およびそのときの絶対湿度を使用

各国の外気温度比較

各国の夏期外気温度及び冬期外気温度を下図に示す。
バンコクにおいては東京よりも夏期外気温度が高い。
バンコク以外の地点においては東京よりも夏期外気温度が低い。
また、ロンドンやストックホルム等の緯度が東京よりも高い国においては、冬期外気温度が東京よりも低い。

各国の絶対湿度比較

次に各国の夏期冬期絶対湿度を示す。
夏期は東京やバンコクといったアジア諸国の絶対湿度が高い。
一方でロンドンやストックホルム等の緯度が高い地点は絶対湿度が低い。

各国の乾球温度と相対湿度

各国の乾球温度と相対湿度を以下に示す。
縦軸に乾球温度、横軸に相対湿度を示す。
東京や、バンコク、ニューヨークは図中右肩上がりとなる傾向があることに対し、それ以外の地点では右肩下がりの傾向であった。

まとめ

今回は、ASHRAEに基づく世界各国の温湿度について紹介した。
東京を基準に乾球温度や相対湿度のほか絶対湿度について比較した。
これらの自然条件を踏まえて設計を行うことが重要だろう。

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