給湯器の号数とkW -号数計算の方法や能力の計算・換算方法を紹介-

こんにちは。

給湯器の設計を行うとよく号数や能力についてわからなくなることが多い。
普段聞きなれない単語だからこそ、難しく感じる。
だが、計算自体は決して複雑なことを行っているわけでない。
そのため、ある程度慣れれば比較的簡単に計算を行うことが可能だ。

今回は給湯器の号数計算の方法と能力の計算方法を計算例を交えて紹介する。

給湯器の1号って何?

給湯器の1号とは1L/minを25℃加温できる能力のことを示す。
例えば17℃の給水を25℃加温させ42℃で1L/min出湯した場合に1号と呼ばれる。
したがって、以下の式で号数の計算を行うことができる。

号数の計算 [号]
流量[L/min] x (給湯温度[℃] – 給水温度[℃]) ÷ 25[℃]

水温

季節別給水温度
25℃
春・秋15℃
5℃

出典:日本イトミック

いつも17℃の給水が確保できれば1L/min=1号と読み替えることができるが実際にはそうではない。
季節によって外気温度の影響を受け給水温度が異なる。
日本イトミックが公開しているデータによれば、季節別の給水温度は左表の通りとなる。
通常、冬だけ使用しない給湯設備は考えづらいので給水温度は5℃とすることで計算を行うことが多い。

そのため、給水温度を5℃とした場合、42℃の給湯を作り出すためには37℃加温しなければならない。
⊿37℃ ÷ ⊿25℃ ≒ 1.5号
1.5号の給湯器がなければ1L/minの給水を42℃まで加温できないことになる。
これが号数計算を複雑にさせている原因だろう。

給水温度:5℃、給湯温度42℃、給湯量1L/min の場合の号数
1[L/min] x (42[℃] – 5[℃]) ÷ 25[℃] ≒ 1.5号

必要な給湯量

給湯量
13mm水栓5~8 L/min
シャワー7~11 L/min
出典:建築設備設計基準

建築設備設計基準によれば各水栓に対して必要な給湯量は左表の通りとなる。
また原則として同時使用率は常に100%とする。

給湯温度

建築設備設計基準によれば、用途別、水栓別の給湯温度は以下のとおりとなる。

給湯温度
分類洗面所、湯沸室厨房用浴場用飲用
混合水栓60℃60℃
その他42℃60℃90℃
出典:建築設備設計基準

ここで一点重要なことが、混合水栓を用いる場合だ。
混合水栓で水とお湯が混合されたあとの温度はせいぜい42℃が最大だ。
つまり、前項で紹介した水栓毎の水量に水とお湯が混合されている。
水の温度が5℃、給湯の温度が60℃であるため下表のとおり水量と湯量を按分することが可能だ。

器具湯水混合後の流量水量湯量
13mm水栓5~8 L/min1.6~2.6L/min3.4~5.4L/min
シャワー7~11 L/min2.3~3.6L/min4.7~7.4L/min
出典:建築設備設計基準

加熱能力の計算

給湯器の加熱能力は以下の数式で計算することが可能だ。

加熱能力の計算 [kW]
4.186[kJ/kg・K] x 流量[L/min] x 温度差[⊿℃] x 60 [min/h] ÷ 3,600 [kJ/kW]

4.186は水比熱を示す。

1L/minの給水を25℃加温させると以下のように計算が可能だ。

加熱能力の計算 [kW]
4.186 x 1[L/min] x 25[⊿℃] x 60 [min/h] ÷ 3,600 [kJ/kW] = 1.74[kW]

つまり1号 ≒ 1.74kW と置き換えることが可能だ。

給湯器の計算例

給湯器の計算例①

計算条件
給水温度5℃
給湯温度42℃
給湯量6.5L/min

計算例①として、左表に示す計算条件に基づき、必要な給湯器の号数と加熱能力を求めると、以下の通りとなる。

号数の計算 [号]
6.5[L/min] x (42[℃] – 5[℃]) ÷ 25[℃] = 9.62[号]
加熱能力の計算 [kW]
4.186 x 6.5[L/min] x 37[⊿℃] x 60 [min/h] ÷ 3,600 [kJ/kW] = 16.78kW

給湯器の計算例②

計算条件
給水温度5℃
給湯温度60℃
給湯量6.1L/min

計算例②として、左表に示す計算条件に基づき、必要な給湯器の号数と加熱能力を求めると、以下の通りとなる。

号数の計算 [号]
6.1[L/min] x (60[℃] – 5[℃]) ÷ 25[℃] = 13.4[号]
加熱能力の計算 [kW]
4.186 x 6.1[L/min] x 55[⊿℃] x 60 [min/h] ÷ 3,600 [kJ/kW] = 23.41kW

まとめ

今回は給湯器の号数計算の方法と能力の計算方法を計算例を交えて紹介した。
給湯器の計算はやや計算式が複雑化しやすいものの、行っている計算自体は比較的シンプルだ。
何度も計算することで徐々に慣れていただければと思う。

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