こんにちは。
設計を始めてまず最初につまづくことがダクトの大きさを決めることだ。
換気計画を勉強し大よそのダクトルートまで計画する。
だが肝心のダクトサイズがよくわからない。
そんな経験はないだろうか。
今回はダクトの大きさの決め方を紹介する。
ダクトの大きさを決める際に以下の決めごとを前提に検討を行うことが普通だ。
①ダクト内圧損:1.0Pa/mとして計算する。
②風速が10.0m/s以内になるように計算する。
③アスペクト比が1:4以下になるようにダクトの大きさを決定する。
ダクト内圧損
まずはダクト内圧損について紹介する。
空気の通り道はダクトで作られる。
そのためダクト内を空気が通る以上ダクト本体と空気に摩擦が生じる。
この摩擦の程度を圧損という。
摩擦が大きいほど圧損が大きいことになる。
例えば同じダクトの大きさだとしてもその中を通過する空気の量が倍であればその分摩擦(圧損)が大きくなる。
風速が小さい場合はその分摩擦(圧損)も小さい。
この圧損をダクト長さ1mあたり1Pa以下にして計算を行うことが基本となる。
どうしても納まりの都合上1Pa/mによるダクトの大きさだとダクトが大きすぎて天井の中に納まらない場合は1.7Pa/m程度まで圧損を大きくしてもよいだろう。
だが摩擦が大きいほど以下の事項が発生する可能性がある。
・摩擦が大きくなるため制気口から空気が出なくなりやすい。
・摩擦が大きいためダクトから騒音が発生しやすい。
これらの点を気を付けたうえでダクト内圧損を決めることが望ましい。
(参考)ちなみにこの1Pa/mだがダクトの大きさ選定後に行うファンの選定時に必要になる数値となる。
圧損が大きいほど大きな容量を持つファンを選ぶ必要があるため経済性の悪化につながることにも注意が必要だ。
ダクト内面風速10m/s以内
続いてダクト内面風速について紹介する。
基本的にダクト内の面風速は10m/s以内とすることが多い。
(排煙設備を除く)
だが前項のダクト内圧損1Pa/m以内で計画する以上は基本的に10m/s以上とならないことがほとんどだ。
1Pa/mで計画する場合おおよそ20,000m3/h程度の空気を扱わない限りダクト内面風速は10m/sを上回ることはない。
もしそれだけの大風量を扱う場合は1Pa/m以内かつ10m/s以下となるようなダクトの大きさを選定することとなる。
アスペクト比
次にダクトのアスペクト比について紹介する。
アスペクト比とはダクトの縦方向の長さと横方向の長さのことを示す。
アスペクト比は原則1:4以下となるように計画する。
例えばアスペクト比1:4のダクトといえば200 x 800のダクトがあげられる。
その他にも300 x 1200もアスペクト比が1:4だ。
アスペクト比が極端に大きい場合。
例えば100 x 1,600 のダクトの場合アスペクト比は1:16となる。
あまりにもダクトが細長いとダクトがつぶれてしまい空気の通り道が確保されない恐れがある。
そのためにアスペクト比を1:4以下にするように計画を行う。
ダクトの大きさ早見表
スパイラルダクトの大きさ早見表
まずはスパイラルダクトの大きさから紹介する。
スパイラルダクトで主に使われるサイズはせいぜい100φから300φ程度までだろう。
(一応400φまで記した)
条件としてはダクト径毎に1Pa/m以下かつ1Pa/mに最も近くなる風量を記載した。
参考までに面風速を記した。
参考までに先ほど紹介したダクト径毎の風量をグラフ化した。
横軸に風量で縦軸に丸ダクト径だ。
もし興味がある方は図中の近似曲線の数値を用いれば簡単にダクト径を算出可能なためご利用いただければと思う。
【近似曲線】
y = 22.0790019483 × x^0.3685351840
但し
x=風量[m3/h]
y=ダクト径[φ]
矩形ダクトの大きさ早見表
次に矩形ダクトの大きさ早見表を紹介する。
矩形ダクトは縦と横の長さの関係から無数の種類がある。
そのため一辺を300mmから500mm、もう一遍を300mmから1,000mmまでの風量のみを示す。
条件としてはダクト径毎に1Pa/m以下かつ1Pa/mに最も近くなる風量を記載した。
その他のダクト径計算方法
Duct Checker
フリーソフトであるDuct Checker。
かなり人気のソフトウェアであるためダウンロードしておいて損はないだろう。
リンクはこちらから。
ダクトメジャー
実際に手元でダクトサイズを確認されたい方はこちらのダクトメジャーがおすすめだ。
会社によっては一人一つ配られることもあるほど一般に普及している。
使い方についての説明もとても親切であるため誰でも使用可能だ。
ダクトメジャーはこちらから購入が可能だ。
亜鉛鉄板ダクト摩擦抵抗線図
出典:建築設備手帖抜粋
書籍を用いる方法としては亜鉛鉄板ダクト摩擦抵抗線図がある。
出典もとは建築設備手帖だが、その他にも建築設備設計基準にも同じ線図が記載されている。
上記で紹介したダクトメジャーやDuct Checkerがある場合にはわざわざ本線図を使用する必要もないだろう。
まとめ
今回はダクトの大きさの決め方を紹介した。
ダクトの計画を少し間違えるだけで騒音や空気が出ない等といったトラブルを抱える可能性がある。
そうならないためにもダクトの基本をしっかりと学習していただければと思う。
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