今回は動力盤の要否について
動力盤の要否は電気設備側で決めることが通常ではあるが、いざ運用段階になると空調側の人間が機器のメンテナンスを行う。
動力盤の遮断器を操作し安全に配慮しながらメンテナンスを行う。
遮断器のON/OFFで通電を操作可能だが、通常メンテナンス中はOFFになっている状態。
OFFの間は配線を触っても感電せず特に危険な目にあうことがない。
一方で動力盤が近くにないと遠くの方にある遮断器を操作する必要がある。
メンテナンス中に目視可能な位置に遮断器がないということは
誰かが間違って遮断器を操作してしまう可能性がある。
即ちメンテナンス中に通電してしまうことになり、メンテナンス業者が危険な目にあいかねない。
そのため通常は動力盤が機器付近に計画されるケースが多いが、ときには機器付近に動力盤が存在しない場合がある。
なぜ動力盤が省略されることがあるのかは電気設備設計者に確認しないことにはわからない部分もあるが、そのような点を鑑みると動力盤廻りの計画についても設計段階から機械設備的な観点から確認を行う必要がある。
まずは機器と動力盤や受変電設備の関係性について説明したのちに電気の危険性、動力盤の要否について説明する。
電力会社より敷地内へ電力が引き込まれる。
電力会社から送られる電力は通常電圧が高いため受変電設備(キュービクル)にて通常の各機器や照明、コンセントで使用される電圧まで変圧される。
受変電設備では主に単相100V,単相200V,三相200Vの三種類に変圧される。実験機器などでは海外製があることもあり中途半端な240Vや400Vなどに変圧が必要なこともある。
三相電源が動力と呼ばれる。
どの動力がそれぞれ機器付近にある動力盤へ配電され機器へと供給される。
動力盤の詳細
動力盤の主な中身を説明する。
受変電設備から変圧された電流を動力盤で受け機器ごとに回路を分け分配している。
その際に動力盤内で電源のON/OFFが可能なように遮断器(ブレーカー)が同時に設けられる。
中にはインバータと呼ばれるものが格納されたり、機器と機器の連動を行ったりすることもある。
これらから動力盤はハブのような役割を持っていることがわかる。
そのため動力盤自体の設置を省略することが可能であり受変電設備から直接機器へ配線することも可能である。
電気の危険性
通常電流を人が受けたときの致死量は100mAと呼ばれる。100mAということは100Vの場合はわずか10Wであり、家庭にあるようなコンセントでも危険性がかなり高い。
よく子どものころにコンセントにシャープペンシルの芯を入れて遊んでいた人もいるだろうが、実際にはとても危険だとわかる。
動力盤が必要なケース
動力盤の中に遮断器が設けられるため動力盤がないと受変電設備に設置される遮断器を直接操作する必要がある。
動力盤が必要なケースは主に機器の点検時に目視が可能な位置に遮断器があるかどうかが一つの目安となる。
目視ができない位置に遮断器があるとメンテナンス中に遮断器を操作されたとしても気づくわけがなく大変危険だ。
そのため基本的には動力盤が必要なケースが多いと考えられる。
また設計者によっては機器側に附属の制御盤で遮断器を制御すればよいなどと言われる方もおられると思う。
機器に附属の制御盤を点検するときはいったいどうするのかといったことを考えると、結局受変電設備の遮断器といったはなしになってしまうため、機器附属盤(機側盤)の有無にかかわらず動力盤の要否を判断する必要がある。
基本的に動力盤は省略できない
上記より基本的に動力盤は省略できず、万が一受変電設備から直で機器につながっている場合は基本的に現況を疑うことをお勧めする。
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