ダクトの保温の必要性 2022.03.222023.04.23 【↓ダクト講座一覧↓】(プルダウン) ダクト設備 (34)【ダクトの基礎】 ①ダクトの役割と仕組み ②ダクトの材料 ③ダクトの吊りと接続方法 ④保温の必要性 ⑤空調ダクトと換気ダクトの違い ⑥様々なダンパー ⑦VDの役割と設置例 ⑧CDの役割と設置例 ⑨MDの役割と設置例 ⑩FDの役割と設置例 ⑪HFDの役割と設置例 ⑫SFDを設けるケース ⑬HFDの設置位置と耐火ダクト ⑭FDを設けるかダクト迂回か ⑮CAVとVAVの役割と設置例 ⑯ガラリの役割 ⑰ベントキャップの役割 ⑱制気口の種類と使い分け ⑲制気口BOXの役割 ⑳制気口の結露防止 ㉑保温内貼り、外貼りの使い分け ㉒ブリーズライン上部のBOX ㉓アスペクト比【ダクトの計画・大きさ】 ①ダクトの大きさの決め方 ②矩形ダクトとスパイラルダクト ③ガラリの大きさの決め方 ④制気口の位置の決め方 ⑤制気口の大きさ計算方法 ⑥制気口の大きさ計算ツール ⑦制気口ボックスの大きさ計算方法【ダクトの描き方】 ①ダクト図の描き方 ②制気口リストの作り方 ③ガラリチャンバーリスト ④ダクトの描き方_枝ダクト こんにちは。今回はダクトの保温について紹介する。ダクトに限らず建築設備を計画するにあたって様々な配管にも保温を施す必要がある。保温を行う理由は主に結露が発生するからだ。配管やダクトの内側と外側の表面温度差が発生することで結露が発生する。ということはダクトに限って言えばダクトの中の空気がどのような温度であるか、またダクト周囲の温度環境がどのようなイメージとなるかを想像することである程度結露が発生する領域を把握することができる。とはいえ設計初心者の方にはそのようなイメージすらなかなか難しい。 今回はダクトの保温の必要性について紹介する。 コンテンツ 各ダクトの用途各ダクト内の温度保温を行う理由各ダクトの保温の必要性まとめ 各ダクトの用途 ダクトの用途は非常に様々ではあるが大きく分けると以下の通りだ。 【給気ダクト】通称SA(supply air)_主に空調機等で冷やされたり暖められた空気の搬送に用いられるダクト。【還気ダクト】通称RA(supply air)_主に室内の空気を循環させるために室内の空気を空調機へと戻すためのダクト。【外気ダクト】通称OA(outdoor air)_主に外部からの新鮮空気を導入するために用いられるダクト。【排気ダクト】通称EA(exhaust air)_主に室内の臭気や熱を外部へ排出するためのダクト。 各ダクト内の温度 次に各ダクト内の温度について紹介する。 【給気ダクト】給気ダクトは空調機により冷やされたり暖められたりした空気がダクト内を通過するため室温よりも暖かかったり冷たかったりする。設計内容にもよるが冷房時の給気温度は15℃程度となる。 【還気ダクト】換気ダクトは室内の空気を空調機へ戻すためのダクトであるため基本的には室温と同程度の温度となる。 【外気ダクト】外気ダクトは夏であれば30℃を超える温度を室内に取り入れるためダクト内温度も30度を超えてくる。冬であれば外気温が0℃の場合は0℃の空気がダクト内へ侵入する。 【排気ダクト】主に臭気などを取り除くためのダクトであることから例えばトイレであればトイレ内の温度と同程度の温度となる。但し例えば厨房からの排気の場合は厨房から局所的に発生する湯気等を取り除くこととなるためダクト内の温度は湯気の温度に近しい温度帯となることがある。 保温を行う理由 保温を行う最大の理由は結露対策だ。通常ダクトは天井裏にて計画されるため結露が発生してしまうと天井を伝ってどこからか結露水がぽたぽたと垂れてしまう。また常時水気があることとなるため天井裏のカビについても発生する恐れがある。上記理由から結露させないために保温を行う必要がある。なお結露する要因についてはこちらで紹介しているため参照されたい。 各ダクトの保温の必要性 ようやく本題の各ダクトの保温の必要性について紹介する。 【給気ダクト】基本的には空調された空気の搬送に使われるため室温とダクト内の温度が大きく異なることが想定される。室温とダクト内の温度が異なるということは結露が発生する可能性があり得るため保温が必要だ。【還気ダクト】室内の空気を直に吸い込むこととなるため室温とダクト内の温度はほぼ同等であると考えられる。従って基本的には保温が不要だ。但し設計要件から明らかに室温とダクト内の温度が異なることが想定される場合は保温を見込むべきだろう。【外気ダクト】外気ダクト内の温度は外気温に依存するためどうしても室温とは温度帯が異なる。従って保温が必要だ。【排気ダクト】排気ダクト内の温度は例えばトイレの排気であればトイレ室温と同等であることが想像できるため保温は不要だ。但し前述した通り厨房の排気など明らかにダクト内の温度が変動する可能性がある場合は保温を見込むべきだろう。 まとめ 今回は各ダクトの用途に対して保温の必要性について紹介した。一度結露を起こしてしまうとどこで結露が発生しているかといった要因を探すことが困難であったりする。どんな場所でどの場所で結露が発生するかを考えたうえで保温の範囲を考えていただければと思う。
コメント
管工事の会社に勤めたばかりのものです。ダクトの勉強中ですがまさにこの記事の説明を求めてました。。。わかりやすく非常に勉強になります。アメリカ受注の管工事なので英語の設計図に頭を抱えていますが他の記事も参考にいつもお世話になっています!
TOMMY様
いつも拝読頂き大変ありがとうございます。
お褒めのお言葉大変感謝しております。
もし分かりづらい点等ありましたら逐一ご連絡いただければと思います。
引き続きあきしょー工房をよろしくお願い致します。