建築設備 -空気線図について紹介-

【↓機械設備入門一覧↓】(プルダウン)

こんにちは。

空調設備設計を行う際には、空気の状態を常に把握することが重要である。
空気の状態といえば温度や湿度の把握が基本となるが、空気線図を用いることで、設計に必要な温湿度以外の情報についても確認することができる。

空気線図は、意外とないがしろにされがちであるものの、空調設備設計においては欠かせないツールであり、これを正しく読み取れるかどうかで設計の理解度は大きく変わる。
そのため、空気線図をマスターすることは非常に重要である。

本記事では、この空気線図について解説する。

空気線図とは空気の状態を読み取るための図

通常、設備設計で用いられる空気線図とは右図に示すものである。
空気線図では、温度や湿度をはじめとする空気のさまざまな状態を読み取ることができる。
また、一点の情報から相対湿度や比体積、比エンタルピーなど、空気に関する多くの性質を把握することが可能である。

空気線図から読み取れる代表的な情報
1, 乾球温度
2. 相対湿度
3. 絶対湿度
4. 比エンタルピー

空気線図から読み取れる各要素と用語の解説

乾球温度

乾球温度といわれてなじみがない方もいらっしゃると思う。
乾球温度は一般になじみがある温度と同義である。
温度ではなく乾球温度という理由は、温度には乾球温度だけでなく湿球温度といった要素も存在するためである。
乾球温度は空気線図上で横軸で示され、図中右側へ行くほど乾球温度が高い。
建築の業界では-20℃程度から50℃程度を扱うことが多い。
単位は[℃ ] である。

乾球温度の変化により水平方向に空気が移動

例えば以下に示す乾球温度20℃のある空気があると仮定する。
その空気の近くに火があればその空気は例えば30℃へと徐々に加熱される。
一方でその空気の近くに氷があったとすればその空気は例えば10℃へと徐々に冷却される。
次に、乾球温度が変化した時における空気線図上の動きについて紹介する。
乾球温度20℃の空気があり20℃から30℃に変化する場合と20℃から10℃に変化する場合を示す。
乾球温度が上昇すると空気線図中に記された点は右側へ移動する。
一方で乾球温度が下降すると空気線図中に記された点は左側へ移動する。

相対湿度

一般になじみのある湿度とは相対湿度のことを指す。
例えば湿度20%,40% などといった表現である。
相対湿度とは1kgの空気中に含むことができる水分のうち実際に空気が含んでいる水分の割合をいう。
(※正しくは水分ではなく水蒸気)
湿度のことを相対湿度と表す理由は、湿度にも温度同様に2 種類あるからであり、相対湿度の他に絶対湿度という要素があるからである。( 後述)
相対湿度は右肩上がりの曲線で示される。
左上にいくほど相対湿度が高いことを示す。
単位は[%] である。

絶対湿度

絶対湿度とは先ほどの相対湿度の項目で少し紹介した要素である。
絶対湿度とは空気中に実際に含んでいる水分(水蒸気)の量をいう。
( 細かくは後程別途紹介するので一旦はこんな用語があるんだ程度に認識いただいてよい)
絶対湿度は空気線図上縦軸で示される。
図中上に行くほど絶対湿度が高いことを示す。
単位は[kg/kg]である。

相対湿度と絶対湿度

相対湿度と絶対湿度の違いについて理解を深めるために、まず、飽和水蒸気量について紹介する。
飽和水蒸気量とは、ある空気1kgが含むことができる最大の水分量(正しくは水蒸気量)のことである。
一般的に乾球温度が高いほど、飽和水蒸気量が大きくなる。

水蒸気量が飽和水蒸気を上回ると結露する!

水蒸気量が飽和水蒸気量を上回ると結露が発生する。
水蒸気量が飽和水蒸気量を上回る条件としては主に水蒸気量の増加および乾球温度の低下が挙げられる。

結露が発生する条件
1, 水蒸気量の増加
2. 乾球温度の低下

相対湿度は割合、絶対湿度は水分量を示す

相対湿度はある空気の飽和水蒸気量に対する水蒸気量の割合を示す。
一方で、絶対湿度はある空気の水蒸気量を示す。
そのため、水蒸気量が変化しない場合、飽和水蒸気量(乾球温度)が変化することで、相対湿度は変化する一方で絶対湿度は変化しない。
(結露が発生しない場合に限る)

相対湿度と絶対湿度
相対湿度 ある空気の飽和水蒸気量に対する水蒸気量の割合
絶対湿度 絶対湿度はある空気の水蒸気量

比エンタルピー

比エンタルピーとはいわゆる空気の持つエネルギー量を示す。
これだけだとピンとこないかと思うが比エンタルピーについても後程紹介するので一旦は読み飛ばしていただいてよい。
空気線図上では右肩下がりの直線で示される。
空気線図中右上に行くほど比エンタルピーが高いことを示す。
単位は[kJ/kg] で示される。

どんな物体もエネルギを持っている

例えば身の回りにある照明もエネルギーを持っており(40W/台等) 、人もエネルギーを持っている。(100W/人程度)
空気も同様にエネルギーを持っており、これらのエネルギーが相互に干渉することで、温湿度に影響を与える。

空気同士の熱収支

26℃で50% の空気については空気1kg あたり約53kJのエネルギーを持っており、温湿度変化により空気の持つエネルギー量は可変する。
例えば10℃50%であれば20kJ/kgといったエネルギー量であり、33℃80%であれば100kJ/kg といったエネルギー量となる。
また2 種類以上のエネルギー量を持つ空気等が混合されることで各空気のエネルギーをやり取りすることとなる。
例えば10℃50%(20kJ/kg)の空気と33℃80%(100kJ/kg) が1:1 の割合で混同することで21.5℃ 90%(60kJ/kg) となる。
この1kg あたりのエネルギー量を比エンタルピーという。

空気を冷却する場合の熱収支

冷房時におけるエアコンの熱収支について紹介する。
エアコンは暖かい空気を吸って冷たい空気を出すものがエアコンであり、例えば以下のような熱収支が発生する。
エアコンの吸込空気の温湿度:33.0℃ 80%(100kJ/kg)
エアコンの出口温湿度:21.5℃ 90%(60kJ/kg)
このとき、エアコンの内部で40kJ/kg のエネルギー量のやり取りがあったことになる。
そのエネルギー量を強制的に操作するものがエアコンである。

空気線図の読み方

乾球温度30℃、相対湿度80%の場合における、空気線図上での読み取り方について紹介する。

まず、乾球温度は空気線図のX軸に示されているため、その中から30℃を探す。
次に、30℃の位置から上方向に伸びる線を確認する。

続いて、相対湿度を確認する。
相対湿度は右肩上がりの曲線で示されているため、その中から80%のラインを探す。
乾球温度30℃の縦線と、相対湿度80%の曲線との交点が、30℃・80%の空気状態を示す点となる。

このように空気の状態点を特定することで、乾球温度や相対湿度以外の情報も同時に読み取ることができる。
例えば、絶対湿度は右方向に伸びる線をたどることで確認でき、この場合は約0.0216 kg/kgであることがわかる。
また、比エンタルピーについては左肩上がりの線を追うことで読み取ることができ、この場合は約85.4 kJ/kgとなる。

空気線図での空気の動き

熱量の算出式

建築設備の業界で主に扱う熱量の算出方法といえば、空気に関する熱量と水に関する熱量の大きく分けて2 種類である。
空気と水の熱量の算定方法はそれぞれ下表に示すとおりである。

熱量の算定式
空気[kJ/h] 空気比熱[kJ/kg・K] x 空気密度[kg/m3] x 風量[m3/h] x 比エンタルピー差[kJ/kg]
水[kJ/h] 水比熱[kJ/kg・K] x 水密度[kg/L] x 流量[L/min] x 温度差[℃] x 60[min/h]
ただし、 空気比熱=1.0[kJ/kg・K]、空気密度=1.2[kg/m3]、 水比熱=4.186[kJ/kg・K]、水密度=1.0[kg/L]
kJ/hからkWへの換算式
換算式 [kJ/h] ÷3,600 = [kW]
ただし、 空気比熱=1.0[kJ/kg・K]、空気密度=1.2[kg/m3]、 水比熱=4.186[kJ/kg・K]、水密度=1.0[kg/L]

冷房時の計算

例えば、乾球温度33.0 ℃ 相対湿度60% の空気1,000m3/h があったとする。
この空気が冷却装置により冷やされ、冷却後の空気が乾球温度21.5℃相対湿度90% となった。
それぞれの空気状態を空気線図上にプロットすると、冷却前の比エンタルピーは82.2kJ/kgとなり、冷却後の比エンタルピーは58.5kJ/kg となる。
熱量の算出式は以下のとおり求められる。

乾球温度 相対湿度 比エンタルピー
冷却前 33.0℃ 60% 82.2kJ/kg
冷却後 21.5℃ 90% 58.5kJ/kg
熱量の算定式
算定式 空気比熱[kJ/kg・K] x 空気密度[kg/m3] x 風量[m3/h] x 比エンタルピー差[kJ/kg]
1.0 x 1.2 x 1,000 x (82.2 – 58.5) = 28,440kJ/h = 7.9kW

暖房時の計算

例えば、乾球温度0.0 ℃ 相対湿度50% の空気2,000m3/h があったとする。
この空気が加熱装置により加熱され、加熱後の空気が乾球温度35.0℃相対湿度5.5% となった。
それぞれの空気状態を空気線図上にプロットすると、加熱前の比エンタルピーは4.7kJ/kgとなり、加熱後の比エンタルピーは40.1kJ/kg となる。
熱量の算出式は以下のとおり求められる。

乾球温度 相対湿度 比エンタルピー
加熱前 0.0℃ 50% 4.7kJ/kg
加熱後 35.0℃ 5.5% 40.1kJ/kg
熱量の算定式
算定式 空気比熱[kJ/kg・K] x 空気密度[kg/m3] x 風量[m3/h] x 比エンタルピー差[kJ/kg]
1.0 x 1.2 x 2,000 x (40.1 – 4.7) = 84,960kJ/h = 23.6kW

除湿

除湿とは絶対湿度を下げることである。
(相対湿度を下げるわけではないため注意が必要)
除湿の方式には冷却除湿と吸着除湿の大きく2種類がある。
冷却除湿は過冷却を行うことで除湿する方式である。
吸着除湿は吸着材を用いて除湿する方式である。

除湿の方式
冷却除湿 過冷却により除湿する方式
吸着除湿 吸着剤を用いて除湿する方式

冷却除湿

露点温度を超えてさらに冷却することで、強制的に結露を発生させる。
結露を発生させることで、結果として絶対湿度を低下させ、空気が除湿される。
除湿された空気が室内へ供給される。
また、過冷却することが乾球温度が大きく低下するため、必要に応じ再熱して温調する場合もある。

吸着除湿

吸着除湿とは、吸着材を利用して空気中の水分を取り除く除湿方式である。
吸着材は多孔質構造を持ち、水分子を効率よく吸着する特性があるため、低温環境下でも安定した除湿性能を発揮できる。
特に結露防止や精密機器の保護など、温度条件に左右されず確実な湿度管理が求められる用途に適している。
吸着除湿はデシカント空調や乾式除湿ともいう。

除湿量も空気線図を用いて計算が可能

除湿量の計算式は下表に示すとおりである。
風量と絶対湿度差から除湿量の計算が可能である。

除湿量の算定式
算定式 空気比熱[kJ/kg・K] x 空気密度[kg/m3] x 風量[m3/h] x 絶対湿度差[kg/kg]
ただし、空気比熱=1.0[kJ/kg・K]、空気密度=1.2[kg/m3]

除湿量計算例

絶対湿度 風量
除湿前 0.0100kg/kg 1,000m3/h
除湿後 0.0060kg/kg

除湿前空気の絶対湿度を0.0100kg/kg、除湿後空気の絶対湿度を0.0060kg/kgとし、風量が1,000CMHの場合における除湿量を計算する。
除湿量の算定式にそれぞれ数値を代入すると、除湿量は4.8kg/hとなる。

除湿量の算定式
算定式 空気比熱[kJ/kg・K] x 空気密度[kg/m3] x 風量[m3/h] x 絶対湿度差[kg/kg]
1 x 1.2 x 1,000 x (0.0100 – 0.0060) = 4.8kg/h

加湿

加湿とは絶対湿度を上げることである。
(相対湿度を上げるわけではないため注意が必要)
加湿の方式には水加湿と蒸気加湿の大きく2種類がある。
水除湿は水を噴霧し気化させて加湿する方式である。
蒸気除湿は蒸気を空気中に吹き込み加湿する方式である。

加湿の方式
水加湿 水を噴霧し気化させて加湿
蒸気加湿 蒸気を空気中に直接吹き込み加湿

水加湿

水加湿とは、水を噴霧し気化させて加湿する方式であり、一般的に採用されることが多い方式である。
水加湿の特徴としては、加湿にあたって乾球温度を下げる効果がある。
また、蒸発に時間がかかるため精度が粗い。
他にも、雑菌やカビの繁殖を抑えるために、水の管理が必要といった点が挙げられる。

水加湿の特徴
その1 加湿にあたって乾球温度を下げる効果がある。
その2 蒸発に時間がかかるため、精度が粗い。
その3 水の管理が必要。(雑菌やカビの繁殖)

水加湿と飽和効率

水加湿による加湿方式を選択する際には飽和効率を考慮する必要がある。
水を気化させて水蒸気として空気中に溶け込ませ、加湿をする仕組みのため、相対湿度が上昇するほど、加湿しづらくなる。
そのため、各メーカーが公開している飽和効率を考慮して、目標値まで実際に加湿が可能かどうかを確認する必要がある。

蒸気加湿

蒸気を空気中に直接吹き込む方式を、蒸気加湿という。
この方式では、蒸気として水分を供給するため、加湿量の制御がしやすく、安定した加湿が可能である。

蒸気は高温で供給されるため、加湿過程で殺菌効果があり、衛生面に優れている点が特徴である。
また、蒸気を直接供給するため、乾球温度を低下させることなく加湿を行うことができる。

一方で、蒸気を発生させるためにボイラーや電気ヒーターなどの設備が必要となり、他の加湿方式と比べて設備コストが高くなるというデメリットがある。

加湿量の計算式

加湿量も空気線図を用いて算定することが可能である。
加湿量の計算式は下表に示すとおりである。
(計算式自体は除湿量の計算と同様)
風量と絶対湿度差から除湿量の計算が可能である。

加湿量の算定式
算定式空気比熱[kJ/kg・K] x 空気密度[kg/m3] x 風量[m3/h] x 絶対湿度差[kg/kg]

ただし、空気比熱=1.0[kJ/kg・K]、空気密度=1.2[kg/m3]

加湿量計算例

 絶対湿度風量
加湿前0.0060kg/kg1,000m3/h
加湿後0.0100kg/kg

加湿前空気の絶対湿度を0.0060kg/kg、加湿後空気の絶対湿度を0.0100kg/kgとし、風量が1,000CMHの場合における除湿量を計算する。
加湿量の算定式にそれぞれ数値を代入すると、除湿量は4.8kg/hとなる。

除湿量の算定式
算定式 空気比熱[kJ/kg・K] x 空気密度[kg/m3] x 風量[m3/h] x 絶対湿度差[kg/kg]
1 x 1.2 x 1,000 x (0.0100 – 0.0060) = 4.8kg/h

実践的な空気線図の使い方

前頁までで紹介した内容はあくまでも空気線図の基礎的な内容についての紹介である。
そのため、空調設備設計を行うにあたっての空気線図の使われ方について紹介する。
よく使われるシーンとしては外気負荷計算時、空調機選定時、全熱交換器採用時の大きく3種類が挙げられる。

空気線図の実践的な使い方
その1 外気負荷計算時における空気線図の使い方
その2 空調機選定時における空気線図の使い方
その3 全熱交換器採用時における空気線図の使い方

空気線図と外気負荷

外気負荷とは室内への換気に伴う負荷のことである。
例えば暖かい空気を外から換気扇を通じて室内へ取り込むと室内も徐々に暖かくなる。
それを見越して空調の容量を選定する必要がある。
しかし外気負荷が万が一見込まれていない場合は、外気を室内へ導入するほど室内が暖かくなってしまう。
それを未然に防ぐために外気を室内へ導入することに伴う熱量を空調へ見込むことが必要である。

外気負荷の算定例

空気条件 乾球温度[℃] 相対湿度[%] 比エンタルピー[kJ/kg]
室内 26 50 52.9
室外 35 50 80.8
差分 9 27.9
外気負荷の算定
外気負荷[W]= ( 空気比熱 x 空気密度 x 比エンタルピー差[kJ/kg]x風量[m3/h] ) ÷ 3.6[kJ/h・W]
外気負荷[W] = ( 1 x 1.2 x 27.9 x 500 ) ÷ 3.6 = 16,740 ÷ 3.6 = 4,650[W]

空気線図と空調機選定

顕熱と潜熱および空調機選定に使用するSHF(顕熱比)

顕熱と潜熱
全熱 顕熱 空気や物体の温度変化に関わる熱
潜熱 水分の相変化(水→水蒸気、または逆)に伴う熱
SHF(顕熱比)
SHF=顕熱[W] ÷ 全熱[W]

空調機の選定にあたっては、SHF(顕熱比)が非常に重要な要素であるため、まず、SHFについて紹介する。

顕熱とは、空気や物体の温度変化に伴って出入りする熱のことであり、乾球温度の変化として捉えることができる。
例えば、エアコンで室温を下げる場合に関係するのが顕熱である。
一方、潜熱とは、水分が蒸発・凝縮する際の相変化に伴って出入りする熱のことであり、絶対湿度の変化として表される。
加湿器で水を蒸発させるときや、除湿機で水蒸気を凝縮させるときにやり取りされる熱が潜熱にあたる。
空調の分野では、室温を上下させるのに必要な熱を顕熱負荷、湿度を調整するのに必要な熱を潜熱負荷という。
なお、顕熱と全熱の割合をSHF(顕熱比)という。

SHFと空気線図

空調機を選定するうえで、SHFを使用することは極めて重要である。
SHFの値が小さいほど、顕熱の割合が小さい、すなわち潜熱の発生割合が大きいことになる。
そのため、室内で発生する顕熱と潜熱の割合を考慮して、空調機からの空調空気の温湿度を決定しないと目標とする室内温湿度にはなりえない。
なお、人の呼気や汗などから発生する潜熱を空調機では扱い、それ以外の室内で発生する負荷(人体負荷(発熱分)、照明負荷や什器負荷、構造体負荷等一式)を顕熱として扱う。

顕熱負荷と潜熱負荷の構成
顕熱 構造体負荷+ガラス面負荷+什器負荷+照明負荷+人体負荷
潜熱 人体負荷

空調機のイメージ

家庭にあるエアコンよりも大きな機器が空調機である。
エアコンよりもはるかに大きな空調能力を持っており、大空間の空調を担うこをも可能である。
また、空調機は外気を取りれる機能も附属しており、外気の取入れと室内の空調を同時に行うことが可能である。

空調機の空気の流れ

空調機の空気の流れについて説明する。

室内の空気(RA:還気)と外気(OA:外気)は空調機に取り込まれ、内部で混合される。
混合された空気は、必要に応じて冷却や加熱が行われ、暖房時には加湿も行われる。
その後、調整された空気は給気(SA)として室内へ供給される流れとなる。

このように空調機は、外気を取り入れながら室内空気の温度や湿度を調整し、快適な室内環境を維持している。

空調機により冷やしたり暖めたりするプロセス
1. 室内からRA(還気)が空調機へ戻ってくる。
2. 外部からOA(外気)を空調機へ取り入れる。
3. OAとRAがミックスされる。
4. OAとRAの混合空気を必要に応じ暖めたり冷やしたりする。
5. 暖房時の場合は加湿する。
6. SAを室内へ供給する。

外気と室内空気の混合空気の計算方法

乾球温度 風量
空気① 10℃ 4,000m3/h
空気② 20℃ 1,000m3/h

例えば乾球温度10℃の空気4,000m3/h、乾球温度20℃の空気1,000m3/hの場合を計算する。
両者の風量比は4,000 :1,000 = 4 : 1となる。
そのため、図のとおり混合空気は12℃となる。
計算式では下表のとおり表すことができる。
今回は乾球温度で計算したが、比エンタルピーや絶対湿度でも同様に計算が可能である。
(相対湿度では計算できないため注意が必要)

混合空気の温度
混合空気の温度[℃] = 乾球温度①[℃] + 風量②[m3/h] ÷ 風量①②合計[m3/h] x (乾球温度②[℃] -乾球温度①[℃])

冷房時における計算例

乾球温度 相対湿度
室内空気 26.0℃ 50%
外気 34.0℃ 55%
風量
還気(RA) 3,000m3/h
外気(OA) 1,000m3/h
SHF
0.80

室内空気が26℃50%で、外気が34℃55%、外気量(OA)が1,000m3/h、還気量が3,000m3/h、SHFが0.8のときにおける空気線図を作成する。
空気線図を作成するための下準備として、まず、室内空気と外気の混合空気を確認する。
下表に示すとおり、混合空気の乾球温度は28.0℃となる。

混合空気算定式
乾球温度 混合空気の温度[℃] = 乾球温度①[℃] + 風量②[m3/h] ÷ 風量①②合計[m3/h] x (乾球温度②[℃] -乾球温度①[℃])
26.0℃ + 1,000m3/h ÷ (1,000m3/h + 3,000m3/h) x (34.0℃ – 26.0℃) = 28.0℃

空気線図と全熱交換器

乾球温度 相対湿度 熱交換効率
室内空気 26.0℃ 50% 60%
外気 34.0℃ 55%

全熱交換器とは室内の空調された空気をそのまま廃棄するのではなく、新鮮空気と熱のやり取りをして外気負荷を低減する装置のことである。
顕熱だけでなく潜熱(湿気)も同時に交換できるため、省エネルギー性の向上や快適性の維持に大きく寄与する。
また、熱交換器には機器ごとに熱交換効率が設定されている。
この効率の大小は、導入後の省エネルギー効果や空調負荷の削減度合いに直接影響し、熱交換効率が高いほど、小エネルギ効果も高い。
例えば、右表に示す条件で空気線図を作成する。

熱交換器出口温度計算式
出口温度1 26.0℃ + (34.0℃ – 26.0℃) x (100% – 60% ) = 29.2℃
出口温度2 34.0℃ – (34.0℃ – 26.0℃) x (100% – 60% ) = 30.8℃

まとめ

本記事では、この空気線図について解説した。

空気線図は空調設備設計を進めるうえでの基礎的内容であるため、難しいかもしれないが、ぜひマスターしていただければと思う。

コメント