こんにちは。
建物内に水損事故が発生してはならない重要諸室に対し、ガス消火設備を計画することがある。
ガス消火設備は一般的な建物ではまず計画することがない。
そのため、いざガス消火設備を計画しようとすると、何から手をつけていいかよくわからないことも多い。
特にボンベの数量は建築計画へも影響するため、計画早期にボンベを設置する室の必要面積を確認する必要がある。
今回はボンベの数量の算定方法を紹介する。
ボンベの数量算定フローを下表に紹介する。
まずガス消火を行う対象室の確認を行う。
次に当該ガス消火対象室の容積を確認する。
容積確認後にガス消火剤の種別の選定を行う。
最後に前項までの情報に基づきボンベの必要数量を算定する。
ボンベの数量算定フロー | |
① | ガス消火対象室の確認 |
② | ガス消火対象室の容積の確認 |
③ | ガス消火剤の選定 |
④ | ボンベの必要数量算定 |
ガス消火対象室と室容積
ガス消火の対象室は主に電気室や、情報機器を扱う室であることが多い。
水損対策のためガス消火設備を自主設置することも多いため、法的にガス消火設備が必要な室とガス消火設備を自主設置する室に分けて整理することが重要だ。
ガス消火設備の対象室の整理ができた後に各室の室容積を算定する。
室容積[m3]は室面積[m2] x 天井高[m]で求めることができる。
ガス消火設備を設置する対象室はほとんどの場合、直天であることが多いため、実際には天井高を階高と読み替えることも多い。
なお、天井が張られている場合は、行政へ天井裏空間がガス消火設備の容積算定の対象となるかどうかの確認を行う必要がある。
室容積の算定方法 |
---|
室容積[m3] = 室面積[m2] x 天井高[m] |
ガス消火剤の選定
次に、ガスの消火剤の選定を行う。
今回は、ガス消火剤ごとの必要量のみを下表に記載する。
実際には各ガス消火剤のメリットおよびデメリットを整理した上で、使用するガス消火剤の選定することが大切だ。
消火剤の種類 | ボンベの容量 | 消火剤の必要量 |
---|---|---|
HFC-227ea | 60kg/本 | 0.55 kg/m3 |
ハロン1301 | 60kg/本 | 0.32 kg/m3 |
窒素 | 20.3m3/本 | 0.516~0.740m3/m3 |
IG-541 | 22.6m3/本 | 0.472~0.562m3/m3 |
二酸化炭素 | 55kg/本 | 1.0kg/m3(~50m3) |
0.9kg/m3(最低50kg/m3)(50~150m3) | ||
0.8kg/m3(最低135kg/m3)(150~1,500m3) | ||
0.75kg/m3(最低1,200kg/m3)(1,500m3~) |
ボンベの必要数量算定
ボンベの必要数量は最大となる室容積を対象に計算される。
ボンベの必要数量は以下の式で求められる。
ボンベの必要数量 |
---|
ボンベの必要数量[本] = 最大の室容積[m3] x 消火剤の必要量[kg/m3]or[m3/m3] ÷ ボンベの容量[m3/本] |
例えば、室容積が300[m3]で窒素ガスを使用する場合におけるボンベの必要数量は以下のとおりとなる。
ボンベの必要数量 |
---|
ボンベの必要数量[本] = 300[m3] x 0.516[kg/m3]or[m3/m3] ÷ 20.3[m3/本] = 7.63本 → 8本 |
ハロン消火および二酸化炭素の場合は以下のとおりとなる。
(参考)消火剤別ボンベの必要数量
消火剤別のボンベの必要数量は下表に紹介する。
消火剤の必要量と1本あたりのボンベの容量より、執拗席あたりのボンベの必要数量を算出した。
結果、ハロン1301が執拗石あたりに必要なボンベの数量が最も少ない結果となった。
一方で、窒素はハロン1301の4.77倍のボンベ数量が必要となる。
消火剤の種類 | 室容積あたりのボンベの必要数量[本/m3] | 数量比 |
---|---|---|
HFC-227ea | 0.55kg/m3 ÷ 60kg/本 = 0.00916本/m3 | 1.72 |
ハロン1301 | 0.32kg/m3 ÷60kg/本 = 0.00533本/m3 | 1.00 |
窒素 | 0.516m3/m3 ÷ 20.3m3/本 = 0.02542本/m3 | 4.77 |
IG-541 | 0.472m3/m3 ÷ 22.6m3/本 = 0.02088本/m3 | 3.92 |
二酸化炭素 | 1.0kg/m3 ÷ 55kg/本 = 0.01818本/m3 | 3.41 |
まとめ
吾輩は猫である。名前はまだない。どこで生れたか頓と見当がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。
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