現在の建物では機械的に外気を取り込み不要な空気を自動的に排出する。
またその自動化に伴い省エネルギー的な観点から給排気ファンの能力を可変させ、時にはOFFとすることが主流になりつつある。
こういった省エネルギーを行う側面で、建物内の圧力バランスが崩れてしまうことが多々ある。
例えばよく目にするエントランスの受付の方が寒そうにしている姿。
あれは風除室を通じて外部から空気が直接侵入してしまい、冷たい空気が直接受付まで到達してしまうために起こる。
建物内全体の圧力が外部に対して陰圧であるため空気が侵入する。
つまりエアバランスを計画するにあたり定常時の室圧、省エネ時の室圧のどちらも踏まえて設計する必要がある。
機械換気は主に三種類に分類することが可能
①1種換気
給気・・・ファンを用いて給気
排気・・・ファンを用いて排気
②2種換気
給気・・・ファンを用いて給気
排気・・・排気口を設けて自然に排気
③3種換気
給気・・・給気口を設けて自然に給気
排気・・・ファンを用いて排気
基本的に1、2種換気は居室で使用されることが多く、3種換気はトイレやシャワー室などで用いられることが多い。
また厳格な施設(病院など)では細菌やウイルス混入を防止するため手術室関係は必ず2種、手術室前室が3種、集中治療室関係も3種とする。
厳格に制御する場合は上記に加えて差圧ダンパーを別途設置することが多い。
空気の流れ
普通の事務所の場合を想定すると事務室関係は1種または2種換気となり、トイレは3種換気となる。
そのため下図のように居室に対して空気を導入し廊下を通じてトイレへと排気をすることで空気の流れが一様になるかつ余計な空気をさらに導入する必要がないため合理的な計画となる。
CO2制御
一方で省エネルギーの観点から給気の量を可変させることがある。
仕組みとしては人がたくさんいる場合は室内の二酸化炭素濃度が上昇するため空気をたくさん導入する。
一方で人がほとんどいない場合は室内の二酸化炭素濃度が上がる要因がほとんどないため、空気の導入量を減らす技術である。
CO2濃度と外気の量の制御イメージ
下図では横軸にCO2濃度を示し、縦軸に外気量を示す。CO2の濃度上昇に伴い外気の量の可変させる。制御にあたりハンチングすることに注意することや制御幅の話もあるが複雑になるので割愛する。
外気量を絞ったときのエアバランス
下図のピンクで記載している数字を風量だとする。
通常時は居室へ100の給気がなされ廊下へパスしトイレより100の排気がされる。
すなわち建物全体としてはプラスマイナス0となる。
一方で給気を絞った場合はどうか。
給気が30とした場合に排気が100のままだとすると建物全体が陰圧となる。
廊下部分に外気取入口を設けていない場合は結果的に唯一の自然外気取入れ口であるエントランスから不足分が給気されることになる。
その結果エントランスホールに別置で電気ヒーターがおかれ、受付の方が寒い思いをしていたりする。
まとめ
エアバランスを考慮しないと意図しない部分から空気が流入し、いくら空調していたとしても空調が働かないことにつながる。
・CO2制御時のエアバランス
・倉庫などの一時的にしか使用しない排気ファン
など特に注意しなければいけないことは通常時のエアバランスではなく、どのように建物が運用されるかといった視点でエアバランスを考える必要がある。
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