こんにちは。
普段排煙設備についてなかなか計画しない方にとっては排煙設備が大敵に見えてしょうがないはずだ。
そんな排煙設備はいわゆる空調設備の中でも法的に最も重たい設備であることから少しでも計画を間違えてしまうと計画通知もしくは確認申請時、消防排煙であれば消防確認時に大きな指摘を食らってしまう。
排煙設備の指摘内容は大小あるが比較的建築プランに影響を与えかねない変更もあり得る。
そのため排煙設備の計画についてで困っている方向けに排煙設備の計画の基本を紹介したいと思う。
今回は排煙ダクトのHFD設置位置および耐火ダクトについて紹介する。
なお排煙風量の計画方法についてはこちらで紹介しているため参照頂ければと思う。
図中のポンチ絵は基本的な排煙設備の概念を示している。
排煙設備が必要な室、部分に排煙口を設けておりDSで合流し最上階に設置している排煙ファンにて排気を行っている。
①計画のポイント -排煙ファンの設置位置-
排煙ファンの設置位置は原則として屋上もしくは最上階に設置されている排煙口のフロアと同一フロアに設置が必要だ。
というのも熱い空気はより上部へ逃げようとするため排煙ファンが効率よく空気を吸い込むことができないからだ。
なお屋上以外に設ける場合は基本的に排煙機を屋内に設置することとなる。
基本的に排煙ファンを排煙ファン用の単独の室で区画する必要がある。
また区画されていない場合においては当該室内のダクトは耐火ダクトとするように指摘される可能性があるため留意が必要だ。
ややこしい基準を極力簡略化するためにも明らかに屋上に排煙ファンを設置できない建物以外は原則的には屋上設置とすることが望ましい。
(排煙ファンの設置位置は屋外設置もしくは屋内設置でも法規上どちらでも構わない)
②計画のポイント -HFDの設置位置-
排煙ダクトが防火区画を貫通する度にHFD(high temperature fire damper)が必要だ。
このHFDは通常の空調用ダクトに用いられるFD(fire damper)とはヒューズの温度が異なる。
FDは通常72℃でHFDは通常280℃と設定されていることが一般的だ。
当然火災発生初期の煙を排煙ファンにて吸引する性質上作用温度があまりにも低いと意味をなさないといった理由からHFDの作用温度が高く設定されている。
なお後述する耐火ダクトを使用している部分についてはHFDは不要だ。
その他枝ダクトについてはHFDが何個設けられたとしても差し支えない。
③計画のポイント -耐火ダクト-
続いては耐火ダクトの使用範囲について。
基本的に排煙設備を設置するうえで耐火ダクトが必要な場面は少ない。
しかし例えば図のような場合。
排煙ダクト用のシャフトが水平ダクトとなっている場合においては排煙主ダクトを耐火ダクトにする必要がある。
またその他非常用エレベーターを設置している直近の附室貫通の場合にも耐火ダクトで計画する必要がある。
排煙設備をより詳しく知りたい方へ
今回紹介した内容は基本的な内容ばかりだが排煙設備をより詳しく知りたい方はこちらの書籍をお勧めする。
日本建築センターから出版されており今でも多くの方がこちらの書籍を頼りにしている良書だ。
まとめ
今回は排煙設備の計画の方法について計画を紹介した。
また基本さえ大きく間違えなければ計画通知や確認申請などでそれほど大きな指摘はないかと思われるのでまずは基礎から抑えられたい。
(申請関係へは大きな影響がないとしても工事費には大きく影響が出る可能性が十分にあるので注意されたい)
コメント
いろんな情報がよくまとめられていて素晴らしいと思いますが、③の竪ダクトの最上部にHFDを設置するのはNGではないでしょうか。
(建築設備設計・施工上の運用指針2019年版P.119参照)
通りすがり様
コメント、ご助言ありがとうございます。
確かに建築設備設計・施工上の運用指針2019年版にご指摘頂いた内容の記載があります。
そのため紹介記事の内容を修正させて頂きます。
ご連絡ありがとうございました。