【概要】
ヒートポンプとは、低温側から高温側へ熱を移動させる装置である。冷媒という特別な物質を使用し、その相変化を利用して熱を運ぶことが特徴である。ヒートポンプの基本的な仕組みは、まず冷媒を圧縮機で圧縮し高温・高圧状態にする。次に、その高温の冷媒を熱交換器で放熱させることで、建物や水などに熱を伝える。その後、冷媒は膨張弁を通過し、低温・低圧状態に戻り、再び熱を吸収する準備をする。最終的に、冷媒がもう一つの熱交換器で周囲の熱を吸収し、再び圧縮機に戻るというサイクルを繰り返す。このようにして、少量の電力で多くの熱エネルギーを移動させることができるため、ヒートポンプは高効率な暖房・冷房システムとして広く利用されているのである。
【設計段階での確認事項】
設計段階では、まず、諸元表による各室の要求を整理し、またその他の要求や計画式周辺のインフラを整理したうえで、どのような空調方式とすることが決定することが重要となる。
ヒートポンプは一般に電気熱源に使用されており、ほかの熱媒体を使用する機器と比べて、効率が高くCO2排出量が小さいことが特徴である。しかし、寒冷地ではデフロスト(霜取り運転)が発生することや、効率が低下しやすい点については注意が必要である。また、ヒートポンプは電気熱源であり、他の熱源を使用する場合と比べると電気容量も大幅に増える。そのため、電気設備の負担も大幅に上昇する点についても留意する必要がある。
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