こんにちは。
大学に入り構造力学を始めて間もないころ。
構造力学の入り口として単純梁の反力の計算から始めることが多い。
大学の講義の説明はその業界のマニアックな先生が教える。
その専門的な先生は構造が自分の得意分野だ。
そのため往々にして自分の知識をもとに教える。
つまり比較的簡単な内容ですら難しく教える傾向にある。
(特に文字式で一般化する辺りが顕著だろう。)
だが実は単純梁(静定梁)の反力の求め方はさほど難しくない。
簡単な算数ができれば決して難しくない内容なのだ。
だがどういうわけかその簡単な内容を難しく教える場所が大学なのだ。
今回は単純梁(静定梁)の反力の求め方を紹介する。
片持ち梁(キャンチレバー) |
単純梁 |
構造力学の基礎では大きく左記の構造体について学ぶ。
単純梁とは左図のように2点を視点として坊城のもの(梁)が乗っかっている状態を示す。
また左図のように図中上方向に立ち上がっているものをラーメン構造と呼ぶ。
このラーメン構造も単純梁の一種として学ぶ。
本稿ではあくまでも前述した比較的シンプルな単純梁の計算方法を紹介する。
単純梁(静定梁)の構成
単純梁は主に以下のパーツで構成される。
梁 |
ピン支点 |
ローラー支点 |
ピン支点
ピン支点に接続されている梁は上下左右どの方向にも引っ張っても押しても動かない性質がある。
ローラー支点
一方でローラー支点は左右方向に引っ張ったり押した場合には左右方向には動いてしまう。
だが上下方向に対しては引っ張っても押しても動かない性質がある。
単純梁(静定梁)の反力の求め方
問題
例えば左図における単純梁(静定梁)の反力の求め方を紹介する。
例えば先ほどの梁に3kN(約300kg)の荷重がかかっているとする。
問題のイメージ
左図のような状況をイメージして頂けるとわかりやすいだろう。
橋がかかっていて橋に100kgの重さの人が3人乗っているイメージだ。
問題の通り長さ3mの橋だとすれば左からは2mの位置、右側からは1mの位置に人が3人いる。
橋は崩壊していないとすれば300kgの重量を橋の両端が支えていることになる。
つまり問題を絵で表すと左図の通りとなる。
橋の両端をそれぞれVA、VBとすれば
VA + VB = 3kN となる。
3kNの重量をVAとVBで支えているのだ。
VAとVBの求め方
次に VA と VB の求め方を紹介する。
例えば左図のように極端に人が橋の右側に偏っている場合を紹介する。
この場合、肌感覚的に人の荷重はほとんどすべてVBが受けていると容易に想像できるだろう。
つまり端に寄れば寄るほど寄った側に荷重がかかることを意味する。
例えば右側の岸を削除してみる。
すると橋を支えている部分は左側の岸だけだ。
だがこのままだと右側には岸がないため橋が崩れてしまう。
つまりVBだけの力を加えて橋が崩れないようにする必要がある。
やってみよう
例えばティッシュ箱(左側の岸)を用意して定規(梁)をかける。
定規に重り(人)を載せたうえでVBの位置を指で下から支えるとイメージがわきやすいだろう。
さて左図の場合どちらの方が重かっただろうか。
実験してみれば一目瞭然で指に近いところに重りがあった方が重く感じたはずだ。
VAとVBを求めるための公式
この重く感じる、軽く感じる現象を以下の式で表すことができる。
VB x 基点からの距離 = 重り x 基点からの距離
つまり
VB x 3m = 3kN x 2m
VB = 2kN
となる。
もし3kNの位置が基点から3mの位置であれば
VB x 3m = 3kN x 3m
VB = 3kN
となる。
一方で3kNの位置が基点から1mの位置であれば
VB x 3m = 3kN x 1m
VB = 1kN
となる。
今回の問題の場合は
VB = 2kNだ。
冒頭に説明した
VA + VB = 3kN
より
VA + 2kN = 3kN
VA = 1kN
となる。
HAを求める
実は問題にはHAを求める必要もある。
今回の場合は縦方向にしか荷重はかかっていないため
HA = 0 kN となる。
HBはないのか
なお右側の岸にHBはないのかと疑問に思われた方もいるだろう。
HBはローラー支点だ。
そのため横方向の力は一切受け止められない。
結果としてHBはあったとしても常に0kNとなる。
つまり横方向の力がある場合は全ての横方向の力をHAで受け止めることとなる。
まとめ
今回は単純梁(静定梁)の反力の求め方を紹介した。
学習初期の頃こそとっつきにくい内容ではある。
だが実際には小学生、中学生で習う程度の計算しか行っていない。
そのため解き方に慣れてしまえば感覚的に問題が解けるようになるだろう。
こちらに問題集を作成したため興味がある方は覗いて頂ければと思う。
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